某日...魔王城の裏門前に1人のヒューマンらしい人物が訪れた。
門番は警戒しつつ、事情を聴きに伺う。見る見るうちに門番は青ざめていく。
その者が手にしていた物を目にして...。
?「我は『グラン・ミッドガルド帝国』の使者として訪れた...魔王アウディ・ヴィデバラン・夢崎様にお目通し願いたい」
その使者と名乗ったヒューマンの手にしていたのは、国内でも手練れであった仲間の首だった...
兵士A「なんね?使者っち...仲間の首ばもってくるんなら喧嘩上等っちことか?」
門番の背後に、兵士A(田中 優)が駆けつけていた。
使者「我が王の意思を伝えるだけである...何卒」
アウディ「ならば聞こうか?通してくれ」
兵士A「陛下!」
いつの間にか兵士Aの背後に魔王、アウディが現れた。
アウディ「裏門とはいえ、騒ぎになるだろう?通しなさい...」
使者「感謝申し上げます」
アウディ「先に...その者を弔わせてくれ」
手を上にクイっと上に向けると、使者が手にしていたかつての臣下だった者の首を光の粒子に転換し昇天させる魔王様。
門前で門番と兵士Aはただ佇んで、見送るしかできなかった。

応接室に使者を連れてきた魔王様。
使者は無言で一礼し応接室に入る。
アウディ「その佇まいは西の大陸かな?『グラン・ミドガルド帝国』...といったか」
使者「仰せの通りです」
アウディ「帝国陛下はこの小国に何をお伝えしたいのかな?」
静かに、感情を互いに見せることなく、魔王様は使者に問う。
使者「我が王は貴国、並びにこの大陸に宣戦を布告致します」
アウディ「ほう?我が国だけでなく、九州の6国全てに?」
使者「左様です...我が帝国軍5億の精鋭にて、この大陸を制圧したいと、我が王の望みです」
アウディ「傲慢で欲張りな陛下のようで...そのような方法でなく、直接私と戦えば済むだろう?」
使者「王曰く、『僕が勝てるわけないだろ?だから、君たちの民を人質にするんだよ』とのことです」
ざわっと空気が震える...ある程度こちらの出方はわかっていたようだが...
アウディ「九州全土の人民を人質に...か...すぐにでも消したいなぁ?その陛下を」
使者「あと、もう一つ...王が望まれていることがあり、それが叶えば宣戦はしないとも仰っていました」
アウディ「聞こうか...」
使者「貴国の第一王女、夢崎月美様をご所望されております」
アウディ「ほほう...我が娘をか?」
使者「王女様を差し出して頂ければ、宣戦は致しません...何卒良き判断を...何卒...」
次第に苦しみだす使者...呪いの類だろうか...恐らくは命令以外の事をすれば、呪いが発動するのだろう。
使者はとっさに、胸から紙を、魔王様に手渡した。
瞬時に、強力な熱量を使者の体から放たれる。とっさに使者の体を覆うように防御壁を張る魔王様。
次の瞬間、太陽のような光が防御壁内で炸裂する...恐らく、この辺り一帯を焦土にする程度の威力はありそうだ。
アウディ(使い捨て...か...それにしてもグラン・ミドガルド帝国か...下衆な真似をする)
手渡された紙に目を通す...そこには異国の文字ではあるが、訳をすると
『我が国も同様に奪われた...そして多くを失いました...どうか...貴国は...無事であってください』
アウディ(平和ボケしていたな...久しぶりに殺意が沸いた...帝国!)
一瞬足音が遠ざかるのが聴こえた...
アウディ(!?月美???聞かれたか!!)
不覚を覚える...
こうして、帝国から使者との謁見を終え、次の備えを...魔王様は動き出す。

呪文

入力なし

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