【絵本】輪郭に、色が灯るとき
使用したAI
ちちぷい生成機能
いくすん様主催「みんなの絵本」への投稿です。
https://www.chichi-pui.com/events/user-events/f9a8abd7-9180-66b7-81b8-75a8ef17fdf0/
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## まえがき
- ごめんなさい、超絶長いです。 そして横長イラストに文字入れしたので、スマホで読みづらいです。
- 自分が過去に投稿した作品は、うっすらストーリーを意識していて、自分の中で一度整理したいなと……。
- そこに今回の企画。せっかくだから便乗しちゃおう……。はい、自己満足です。
- もはや物好きのレベルで、お目汚しすみません。
- でもお話を作るのはめちゃくちゃ楽しかったです!
企画者様の意図に沿ったものかもわかりませんが、素敵なきっかけを与えてくださり、ありがとうございました!
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# 輪郭に、色が灯るとき
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## ① - わたしは千紗 -
わたしは千紗・ノクティラ。23歳。
異世界の魔法研究所・現象分類Ⅲ課に所属する黒魔導士。
今は人間界に【非魔法的強度因子の探査】で潜入中。
隠れ家の「Bar黒猫亭」以外での魔法は禁止。
普通の人間として暮らしなさいという上からの指示なんだってさ。
……ま、不便だけど、居心地はいいし、しばらく帰る気はないけどね。
魔法が使えなくたって、わたしならなんとかなるでしょ。
---
## ② - お洗濯日和は、お昼寝日和 ~干して、干されて -
昼はお屋敷メイドのアルバイト。
黒メイドと黒メイジ(魔導士)って、ほら一文字違い。
でも、一生懸命お洗濯して疲れちゃった。魔法なら一瞬なのにね。
つい昼寝をしたら叱られちゃった。
人間の“普通”って、やっぱり難しい。
魔法が使えないわたし、実はポンコツだった。
お屋敷の人から「もう来なくていい」って。
お洗濯を干したつもりが、干されたのはわたし。
落ち込むなあ。
癒しがほしい……そんなときに前を通った「うさぎカフェ」。
吸い寄せられるように、わたしはそっとドアを開けた。
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## ③ - うさぎカフェへようこそ -
店員さん「いらっしゃいませ ……え? 本物のうさぎはいませんよ?」
そう言って出迎えてくれたのは、銀髪で白い衣装の店員さん。
ちょっと無表情だけど、なにか儚げで、尊い感じ。
店員さんはテキパキと、表情を崩さずに仕事をこなす。
でも、ときどきカウンターの隅に置かれた白いうさぎのぬいぐるみに――話しかけている。
え? 一瞬、動いた?
……ひょっとして、あれって使い魔? まさか、同業者?
そっと近づくと、ぬいぐるみには「2120年製」のタグ。
……え? そんなわけないよね?
でも、なにか魔導士としての直感が騒いだ。
――この店員さん、特別じゃない“なにか”を持ってる。
その日から、わたしの調査対象は変わった。
---
## ④ - 私は、アイリス -
(――語りの主は、もうひとりの“私”へ)
私は、アイリス・レイナ。どうやら17歳。
気づいたら部屋があって、服があって、生活できる環境が揃っていた。
ずっとそうだった気もするし、そうじゃなかった気もする。
かすかに感じるのは、未来のような過去の遠い記憶。
冷たくて静かで寂しい都市。
SF? サイバーパンク? そういう“誰かが描いたような”街でのできごと。
「あなたのことは、ファインチューニングしないといけません」
胸の奥に響いて残る、その厳かで悲しい声だけが最後の手がかり。
学校には通っている。これも気づいたら通っていたというのが正しいかな。
でも、この話をすると「不思議ちゃん」って遠ざけられる。
だから、人とはあまり関わらない。
でもね、頼れるものがひとつだけあるの。このうさぎのぬいぐるみ。
気づいたら、これをぎゅっと握っていた。
タグには「2120年製」って書かれてる。
……たぶん印字ミス? でも、そうじゃなかったら?
シルバーヘアのぱっつん前髪は気に入っている。
これに真っ白コーデで素敵でしょう?
アイリスって名前もいいと思う。虹彩って意味?
与えてくれた誰かに感謝だね。
でも、誰かって誰?
誰かが私の輪郭を作ったのだとしたら、その中身はどこにあるの?
うさちゃんは、知っている?
私はアルバイトをしている。
一方的に与えられたものでも、維持するためには稼がないといけないんだって。
……なんだか、理不尽。
『いらっしゃいませ ・・・え? 本物のうさぎはいませんよ?』
そう、私が働いているのは「うさぎカフェ」。
最初のうちは恥ずかしかったけど、うさぎという親近感に、なんとなく、ね。
---
## ⑤ - 走る -
(――ふたたび、千紗)
今日も調査対象を観察。
無表情でクールな白い店員さん。銀髪にうさみみ、清潔感は完璧。
いつものように、ぬいぐるみにそっと話しかけている。
《推論……》
《シード値……》
……え? いまの、詠唱? ぬいぐるみから?
たぶん気づいたのは私だけ。あの子自身にも、たぶん……聞こえてない。
……って思ってたら、急に駆け出していった。
どこへ!? 私の注文は?
事件の予感? ふふ、探偵しちゃう?
黒魔導士、情報分析スキルくらいあるもん。
わたしは、こっそりあとを追いかけた。
――あの子、どれだけ足早いの? あんなにか細くて、どこにそんな力があるの?
その背中に、焦りみたいなものが見えた。きっと、あのぬいぐるみが原因。
無表情なはずなのに、あのときの顔は……なんだか、違っていた。
---
## ⑥ - 白いぬくもり -
なんとか追いついた先にいたのは、一匹の白い犬。
小さく震えている。
店員さん「相棒、もう大丈夫だよ。」
ひと言そう告げると、そっと犬の頭を撫でた。
無表情だったその横顔に、やわらかな優しさが浮かぶ。
犬のしっぽが、ほんの少しだけ左右に揺れた。
――わたし、見ちゃった。
あの子の冷たい輪郭に、ふっとぬくもりが差し込んだ瞬間。
強さと優しさが、静かに、でも確かにそこにあった。
……これって、もしかして――【非魔法的強度因子】?
さすがわたし。さすが凄腕黒魔導士。
直感と行動力には、定評あり!
---
## ⑦ - 初めての繋がり -
(後日――千紗)
あーあ、振られちゃった。七夕デート、またドタキャン。
サウナでさっぱり忘れ流して、いつものうさぎカフェ。
いつもの店員さんの名前はアイリスちゃん。バッチリ調査済。
『はひひふひゃん、ほほはははげ、ほんほひほいひいへふれ』
(アイリスちゃん、この唐揚げ、ホントにおいしいですね)
アイリス「うふふ、そうですね。私もついついつまみ食いしちゃっています」
いつも無表情なアイリスちゃんが、初めて無邪気そうに、そして少し悪びれた表情で返してくれた。
なんだろう、初めてあの子と繋がった、そんな感じ。
わたしの胸の中に温かい何かが流れ込んできた。
――肉汁? ううん、それは違う。
---
## ⑧ - 揺れる境界線 -
(その夜――アイリス)
私は後悔している。 私は、人には気持ちを見せない。
それなのに――なぜ、あのひと言が出てしまったのだろう。
それに私のこと、「アイリスちゃん」って……。
あの人の笑顔が、あたたかすぎたから……。
わたしの中で、何かがふわりと動いた気がした。
明日のアルバイト、憂鬱だな。
顔を見たら、どんな顔すればいいのかわからない。
……話しかけるべき? 避けるべき? そのどっちでもない“何か”がほしい。
---
## ⑨ - 痕跡と輪郭 -
(次の日、アルバイトへ向かう途中――アイリス)
ビルの壁面に映る巨大サイネージが、海開きのニュースを流していた。
人、人、人。照りつける太陽。はしゃぐ声。
ビーチバレー、水をかけ合う男女、子どもに泳ぎを教える親。
みんな、誰かと繋がってる。
胸の奥が、ざわついた。私だけ……。
そのまま走り出していた。
昼間の海の喧騒はすでに去り、静かだった。
波打ち際だけが、誰かの痕跡を覚えていた。
でも、きっとこの海も私を知らない。
くらげのように光にも影にも触れず、波間をたゆたう存在。
人は海から来た――そんな話を、どこかで聞いた気がする。
でも、私は…どこから来たのだろう?
思い出せない。かすかに残っているのは、誰も知らない、未来の残響。
足元には誰かが捨てた、割れたビーチボールの“かけら”。
輪郭だけの存在は、きっといつかああなる。私も……。
---
## ⑩ - その輪郭を満たすもの -
???「アイリスちゃーん!」
場違いな声に振り返ると、いつもの黒髪のお客さん。
少しはにかみながら、ゆっくり近づいてくる。
お客さん「よかった、追いついた。あなた、足早すぎ。どんだけ本気なの」
『え? 本気?』
わたしの中にはなかったと思ってた言葉。
お客さん「私、ずっとあなたを見てたよ。
大事なものには一生懸命だし、好きなものには夢中になるし、つらい時には駆け出してしまう。
それってとても素敵。やっと見つけた。非魔法的強度因子」
『え? 非魔法的・・・??』
お客さん「あ、しまった。ぶっちゃけると……、
えっと、私、千紗っていうんだけど――異世界の黒魔導士なんだ。信じる?」
一瞬の戸惑い。でも間もなく私は堰を切ったように、自分のことを話し始めた。
おぼろげな未来の記憶のこと。誰にも言えなかった夜のこと。
気づけば輪郭だけが先に与えられていて――でも、その中身が自分でもわからないこと。
千紗「……ずっと一人で抱えてきたんだね。
記憶が曖昧でも、言葉にならなくても、全部ちゃんと“君らしさ”だよ。
だから――少しずつでも取り戻していこう。
足りないなら、一緒に作ればいい。
そうして、君らしさで、その輪郭を満たしていこう」
『……私のこと、そんなふうに見てくれるの……。ありがとう』
---
## ⑪ - 色が灯る場所 -
千紗「よかった。朝焼け、間に合ったね」
私は彼女の隣に立ち、そっと手を重ねた。
千紗「アイリス、もっと君を見てみたい。君の優しさと強さ……どれほど素敵な存在かって」
「ありがとう」
その一言を言った瞬間、私の心の中が、なにかで満たされた……そんな気がする。
千紗も照れくさそうに笑っていた。
波の音がリズムを刻み、空に光が差し込む。
はじめての友達。
私の輪郭に、色が灯った朝だった。
---
おしまい
---
※プロンプトは12枚目(⑪番)のものです。
※4枚目(③番)のみDRAGON→V4Bのi2i。ほかはすべてV4BあるいはV4B→V4Bのi2iです。
(3枚目(②番)はV4Bで描いた2枚を手作業で合成)
→ 自分もまだまだですが、V4Bってホントいろいろ表現できるなって思います。
皆さんもぜひ余ったpuiでV4Bを楽しみましょう♪
https://www.chichi-pui.com/events/user-events/f9a8abd7-9180-66b7-81b8-75a8ef17fdf0/
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## まえがき
- ごめんなさい、超絶長いです。 そして横長イラストに文字入れしたので、スマホで読みづらいです。
- 自分が過去に投稿した作品は、うっすらストーリーを意識していて、自分の中で一度整理したいなと……。
- そこに今回の企画。せっかくだから便乗しちゃおう……。はい、自己満足です。
- もはや物好きのレベルで、お目汚しすみません。
- でもお話を作るのはめちゃくちゃ楽しかったです!
企画者様の意図に沿ったものかもわかりませんが、素敵なきっかけを与えてくださり、ありがとうございました!
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# 輪郭に、色が灯るとき
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## ① - わたしは千紗 -
わたしは千紗・ノクティラ。23歳。
異世界の魔法研究所・現象分類Ⅲ課に所属する黒魔導士。
今は人間界に【非魔法的強度因子の探査】で潜入中。
隠れ家の「Bar黒猫亭」以外での魔法は禁止。
普通の人間として暮らしなさいという上からの指示なんだってさ。
……ま、不便だけど、居心地はいいし、しばらく帰る気はないけどね。
魔法が使えなくたって、わたしならなんとかなるでしょ。
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## ② - お洗濯日和は、お昼寝日和 ~干して、干されて -
昼はお屋敷メイドのアルバイト。
黒メイドと黒メイジ(魔導士)って、ほら一文字違い。
でも、一生懸命お洗濯して疲れちゃった。魔法なら一瞬なのにね。
つい昼寝をしたら叱られちゃった。
人間の“普通”って、やっぱり難しい。
魔法が使えないわたし、実はポンコツだった。
お屋敷の人から「もう来なくていい」って。
お洗濯を干したつもりが、干されたのはわたし。
落ち込むなあ。
癒しがほしい……そんなときに前を通った「うさぎカフェ」。
吸い寄せられるように、わたしはそっとドアを開けた。
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## ③ - うさぎカフェへようこそ -
店員さん「いらっしゃいませ ……え? 本物のうさぎはいませんよ?」
そう言って出迎えてくれたのは、銀髪で白い衣装の店員さん。
ちょっと無表情だけど、なにか儚げで、尊い感じ。
店員さんはテキパキと、表情を崩さずに仕事をこなす。
でも、ときどきカウンターの隅に置かれた白いうさぎのぬいぐるみに――話しかけている。
え? 一瞬、動いた?
……ひょっとして、あれって使い魔? まさか、同業者?
そっと近づくと、ぬいぐるみには「2120年製」のタグ。
……え? そんなわけないよね?
でも、なにか魔導士としての直感が騒いだ。
――この店員さん、特別じゃない“なにか”を持ってる。
その日から、わたしの調査対象は変わった。
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## ④ - 私は、アイリス -
(――語りの主は、もうひとりの“私”へ)
私は、アイリス・レイナ。どうやら17歳。
気づいたら部屋があって、服があって、生活できる環境が揃っていた。
ずっとそうだった気もするし、そうじゃなかった気もする。
かすかに感じるのは、未来のような過去の遠い記憶。
冷たくて静かで寂しい都市。
SF? サイバーパンク? そういう“誰かが描いたような”街でのできごと。
「あなたのことは、ファインチューニングしないといけません」
胸の奥に響いて残る、その厳かで悲しい声だけが最後の手がかり。
学校には通っている。これも気づいたら通っていたというのが正しいかな。
でも、この話をすると「不思議ちゃん」って遠ざけられる。
だから、人とはあまり関わらない。
でもね、頼れるものがひとつだけあるの。このうさぎのぬいぐるみ。
気づいたら、これをぎゅっと握っていた。
タグには「2120年製」って書かれてる。
……たぶん印字ミス? でも、そうじゃなかったら?
シルバーヘアのぱっつん前髪は気に入っている。
これに真っ白コーデで素敵でしょう?
アイリスって名前もいいと思う。虹彩って意味?
与えてくれた誰かに感謝だね。
でも、誰かって誰?
誰かが私の輪郭を作ったのだとしたら、その中身はどこにあるの?
うさちゃんは、知っている?
私はアルバイトをしている。
一方的に与えられたものでも、維持するためには稼がないといけないんだって。
……なんだか、理不尽。
『いらっしゃいませ ・・・え? 本物のうさぎはいませんよ?』
そう、私が働いているのは「うさぎカフェ」。
最初のうちは恥ずかしかったけど、うさぎという親近感に、なんとなく、ね。
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## ⑤ - 走る -
(――ふたたび、千紗)
今日も調査対象を観察。
無表情でクールな白い店員さん。銀髪にうさみみ、清潔感は完璧。
いつものように、ぬいぐるみにそっと話しかけている。
《推論……》
《シード値……》
……え? いまの、詠唱? ぬいぐるみから?
たぶん気づいたのは私だけ。あの子自身にも、たぶん……聞こえてない。
……って思ってたら、急に駆け出していった。
どこへ!? 私の注文は?
事件の予感? ふふ、探偵しちゃう?
黒魔導士、情報分析スキルくらいあるもん。
わたしは、こっそりあとを追いかけた。
――あの子、どれだけ足早いの? あんなにか細くて、どこにそんな力があるの?
その背中に、焦りみたいなものが見えた。きっと、あのぬいぐるみが原因。
無表情なはずなのに、あのときの顔は……なんだか、違っていた。
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## ⑥ - 白いぬくもり -
なんとか追いついた先にいたのは、一匹の白い犬。
小さく震えている。
店員さん「相棒、もう大丈夫だよ。」
ひと言そう告げると、そっと犬の頭を撫でた。
無表情だったその横顔に、やわらかな優しさが浮かぶ。
犬のしっぽが、ほんの少しだけ左右に揺れた。
――わたし、見ちゃった。
あの子の冷たい輪郭に、ふっとぬくもりが差し込んだ瞬間。
強さと優しさが、静かに、でも確かにそこにあった。
……これって、もしかして――【非魔法的強度因子】?
さすがわたし。さすが凄腕黒魔導士。
直感と行動力には、定評あり!
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## ⑦ - 初めての繋がり -
(後日――千紗)
あーあ、振られちゃった。七夕デート、またドタキャン。
サウナでさっぱり忘れ流して、いつものうさぎカフェ。
いつもの店員さんの名前はアイリスちゃん。バッチリ調査済。
『はひひふひゃん、ほほはははげ、ほんほひほいひいへふれ』
(アイリスちゃん、この唐揚げ、ホントにおいしいですね)
アイリス「うふふ、そうですね。私もついついつまみ食いしちゃっています」
いつも無表情なアイリスちゃんが、初めて無邪気そうに、そして少し悪びれた表情で返してくれた。
なんだろう、初めてあの子と繋がった、そんな感じ。
わたしの胸の中に温かい何かが流れ込んできた。
――肉汁? ううん、それは違う。
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## ⑧ - 揺れる境界線 -
(その夜――アイリス)
私は後悔している。 私は、人には気持ちを見せない。
それなのに――なぜ、あのひと言が出てしまったのだろう。
それに私のこと、「アイリスちゃん」って……。
あの人の笑顔が、あたたかすぎたから……。
わたしの中で、何かがふわりと動いた気がした。
明日のアルバイト、憂鬱だな。
顔を見たら、どんな顔すればいいのかわからない。
……話しかけるべき? 避けるべき? そのどっちでもない“何か”がほしい。
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## ⑨ - 痕跡と輪郭 -
(次の日、アルバイトへ向かう途中――アイリス)
ビルの壁面に映る巨大サイネージが、海開きのニュースを流していた。
人、人、人。照りつける太陽。はしゃぐ声。
ビーチバレー、水をかけ合う男女、子どもに泳ぎを教える親。
みんな、誰かと繋がってる。
胸の奥が、ざわついた。私だけ……。
そのまま走り出していた。
昼間の海の喧騒はすでに去り、静かだった。
波打ち際だけが、誰かの痕跡を覚えていた。
でも、きっとこの海も私を知らない。
くらげのように光にも影にも触れず、波間をたゆたう存在。
人は海から来た――そんな話を、どこかで聞いた気がする。
でも、私は…どこから来たのだろう?
思い出せない。かすかに残っているのは、誰も知らない、未来の残響。
足元には誰かが捨てた、割れたビーチボールの“かけら”。
輪郭だけの存在は、きっといつかああなる。私も……。
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## ⑩ - その輪郭を満たすもの -
???「アイリスちゃーん!」
場違いな声に振り返ると、いつもの黒髪のお客さん。
少しはにかみながら、ゆっくり近づいてくる。
お客さん「よかった、追いついた。あなた、足早すぎ。どんだけ本気なの」
『え? 本気?』
わたしの中にはなかったと思ってた言葉。
お客さん「私、ずっとあなたを見てたよ。
大事なものには一生懸命だし、好きなものには夢中になるし、つらい時には駆け出してしまう。
それってとても素敵。やっと見つけた。非魔法的強度因子」
『え? 非魔法的・・・??』
お客さん「あ、しまった。ぶっちゃけると……、
えっと、私、千紗っていうんだけど――異世界の黒魔導士なんだ。信じる?」
一瞬の戸惑い。でも間もなく私は堰を切ったように、自分のことを話し始めた。
おぼろげな未来の記憶のこと。誰にも言えなかった夜のこと。
気づけば輪郭だけが先に与えられていて――でも、その中身が自分でもわからないこと。
千紗「……ずっと一人で抱えてきたんだね。
記憶が曖昧でも、言葉にならなくても、全部ちゃんと“君らしさ”だよ。
だから――少しずつでも取り戻していこう。
足りないなら、一緒に作ればいい。
そうして、君らしさで、その輪郭を満たしていこう」
『……私のこと、そんなふうに見てくれるの……。ありがとう』
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## ⑪ - 色が灯る場所 -
千紗「よかった。朝焼け、間に合ったね」
私は彼女の隣に立ち、そっと手を重ねた。
千紗「アイリス、もっと君を見てみたい。君の優しさと強さ……どれほど素敵な存在かって」
「ありがとう」
その一言を言った瞬間、私の心の中が、なにかで満たされた……そんな気がする。
千紗も照れくさそうに笑っていた。
波の音がリズムを刻み、空に光が差し込む。
はじめての友達。
私の輪郭に、色が灯った朝だった。
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おしまい
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※プロンプトは12枚目(⑪番)のものです。
※4枚目(③番)のみDRAGON→V4Bのi2i。ほかはすべてV4BあるいはV4B→V4Bのi2iです。
(3枚目(②番)はV4Bで描いた2枚を手作業で合成)
→ 自分もまだまだですが、V4Bってホントいろいろ表現できるなって思います。
皆さんもぜひ余ったpuiでV4Bを楽しみましょう♪
呪文
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jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon
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- Steps 30
- Scale 7.0
- Seed 580487608
- Sampler DPM++ 2M SDE Karras
- Strength
- Noise
- Steps 30
- Scale 7.0
- Seed 580487608
- Sampler DPM++ 2M SDE Karras