やあ、高崎君。今度は山口に出張だ!

「やあ、高崎君。今度は山口に出張だ!」
また、服部先輩に肩をバンと叩かれた。俺は4月入社したばかりの新人だ。
前回の札幌支社の案件は恐ろしいほどうまくいった。
勿論、服部先輩の手腕である。相手側の部長が車が好きで、特に重機が大好きと言う変人だった。
服部先輩が、大型特殊免許(ショベルカー、クレーン車、ブルドーザー等)を持っていると聞くと食いつき、部長とだけで3時間話し込んだ挙句、契約を取ってしまった。
身近に重機を熱く語る話し相手がいなくて寂しかったらしい。その後、その部長とはメル友らしい。
他にも服部先輩は資格を沢山持っていて、資格を取るのが趣味なんだとか。
ただし、２輪車だけは親が危険だと言って絶対取れないらしい。まあ、今時２輪車に乗るのは仕事関係か変人趣味人だけだしー。

「出張はいつですか?」俺が先輩に訪ねる。既にキャリーバッグを引いているのが凄く気になる。
「15時の飛行機に乗る」サラリと先輩が言う。
「えー! あと2時間しかないじゃないですか!」うへー俺の悪い予感的中。
「心配するな。君のキャリーバッグは会社の備品を持っていく。着替えとかは、まあ向こうで買えばいい。ホテルも予約済みだ。商談は明日だから、夕飯はフグを食おう!　山口の地酒は旨いぞ」
「そんなの食べたら、足が出ますよ!」
「そうだな、高いな。でも心配するな。課長から予備費10万を別途もらっている! 問題ない!」
と言うと服部先輩は、俺をひょいとお姫様抱っこして出口に向かう。
実は俺、160cmしかない小男なんだ。対して服部先輩は170cm近くある。先輩、柔道2段とかで力もあるのだ。
俺は拉致されたかのように、タクシーに放り込まれて空港に向かうことになった。
そして俺は、再度営業とは話題の広さが物を言うことを実感することとなる。
俺はどうも服部先輩に好かれたらしい。先輩は強引だが、凄く仕事はできるし話題は多いし、長身でスタイルも良い。特にあの胸部装甲はガンミしてしまう・・・。
ただ・・・顔の部品は良いのに配置を間違えたような、不気味な顔と不気味な笑みはどうしても怖いのだ・・・(;^ω^)