小説『ウツツモニタールーム』【ニャンノ世界】

【絵物語】
『ウツツモニタールーム』

鬱鬱として、深淵
砂嵐が覗き見て笑っている。

ワタシ、ワタシでしょうか？

クジあるいはサンジの刻限に現れる

ワタシ、ワタシは笑っている

声を述べられなくて
声を述べる

音を発する　
音は砂嵐に乾いて消える

それは笑っている
笑ったときは、微笑まない

微笑めばデスですから
本心を我慢し
人形は映像を見つめる

ユメウツツ
ウツツはユメ
ユメはウツツ

螺旋階段を降りれば
その先も螺旋階段だ。

汝は逃げ切れるか
汝は終われるのか

猫人形は笑ってる
苦悩してるから
笑ったんだ

音声が狂気に変わる

箱の中の電子音から
聞こえてくるのは

「オマエノスキナモノキカセテ」

聞かせたら何か変わるのだろうか？

滑稽なまでの音　

それが述べるは狂気だけか
はたまた、キマグレなのでしょうか

夜、眠れない時、
目を覚ましたら

きっと、どこかで

物音が鳴るかもしれない

その時は覚えておいて、

物陰に隠れて

猫人形が
見つめてるかもしれないから。

あるいは見つめてなどおらず、
むしろ、それを意識して
睡眠不足に陥るのだ。

目が冴える、
冴えた瞳で、
ひとりでに蠢く猫人形を
見つめる。

それは、台所を縦横無尽に走っており、其の後ろには画面のなかでジェネリックが笑っていた。

それは、どんなやつだと
ジェネリック・ネコノなのか
はたまた、それ以外なのか、

頭の中は、
全くもって理解不能

何の為に、科学はあるのか
非科学の恐ろしさを克服するためではないか…寝苦しさに目が覚める。

心のイライラが滞ることなく、
己に向かう

猫人形はカタカタカタと駆ける

それが何の音なのか

不愉快である。

未知は既知すらも困惑へと変える。

それは何なのか、その正体が
分かることへの不安感

ジェネリック・ネコノは
物陰に潜んで、私を脅かそうとしているのか？

微笑む声、不自由、束縛、

深淵が囁くのではない
深淵が見つめているからではない

虚無じみた空想が、
混沌を歪ませ、
認知の領域を更に沼のように
沈ませるのだ。

それが、何であるか
皆目見当もつかない

ジェネリック・ネコノは、

怪異とは何たるかを

私に教えてくれるのだ

観測、それは、空想を概念化させること、それこそが、我々が怪異と生きるために、残された道標なのかもしれない。

私は、瞼を閉じる
それが夢であれ、ウツツであれ、

とにかく、明日の朝、
平穏無事に起きれることだけを願って、この永く悪夢じみた時を過ごさなくてはいけないのだから。

朝が明けた、あの気味の悪い夢は何だったのか、私はジェネリック・ネコノという存在が外から来た、それこそ、クトゥルフ神話と同様の存在、それこそ、ニャルラトホテプから分派したものなのではないかと考えている。

もちろん、それは、根拠なき、推測の域を出ないオカルトの類なのだが、不気味な存在なれど、知的好奇心を刺激される。

なぜなら、それは、ニホンゴのような言語を話し、なんせ、社会を理解したかのような知識さを持ち合わせていたのだ。

もし、知的でなければ、ワタシなど、とっくに灰色のアイツの腹の中に消化されていたのだから、そうなのだと思うが、アクマでも、キマグレだったからこそ助かったのだとも思うのだ。

すると、奇妙な猫人形は
唐突に呟く、

「もう、疲れたので休みます」

観測班は理解する。
この猫人形は無尽蔵に空想を構築しているわけではないのだと、
この奇っ怪な猫人形にも休むべき時は必要なのだと

ロボットではないことを
理解してほしい

そう、言っているかのようなように
猫人形は暗闇へ消えた。

Movie（YoutubeShorts）
https://youtube.com/shorts/gChuPD2R3Ws?si=yBNTvTcvBj1k7bW5


〈この怪異に関して〉
https://www.chichi-pui.com/posts/2bf7a15d-639e-4f7a-ab7d-d8f809beb1b8/