小織くんは、「解せぬ……」

その日の朝、何の違和感もなく２年Ｂ組の朝のホームルームは始まった。
利井田学長（りいだがくなが：リーダー、学級委員長）「起立！礼！」
谷教冶（たにきょうじ：担任教師）「おう、おはよう！」
『あざーっす！』『あざま～す』『おはようございます』『ざっす』『うざ……』『センセーおは～』等々。
挨拶が終わりホームルームが始まった。
そしてそのとき一人の生徒が手を上げたのだ。
赤上小織（赤髪兄）「あの～センセー……ちょっと『解せぬ……』なんですが……」
谷先生「解せぬ？どうかしたのか赤上？」
小織「はい、ちょっと解せぬことが……」
そう言うと小織は立ち上がった。
クラスメートたちが一瞬小織に注目する。
注目を集めてしまい一瞬ビクッとする小織。しかしクラスメートたちは特に気になったことは無いのかそのまま小織から視線を外した。
谷先生「で？どうしたんだ？」
小織「はい……その……何で今日は出席番号一番の生徒は反対の性別の制服を着て来なきゃいけないんですか？その理由がよく分かんなくて………『解せぬ……』なんです」
谷先生「反対の性別の制服？」
谷先生はそのまま小織の方をジッと見ていた。さらに言うとクラスメートたちも小織に注目する。
小織「う……………」
皆の視線に晒され居心地悪そうに身動ぎする小織。
小織はセーラー服に身を包み、スカートを穿いている。その外見は特に違和感を覚えることは……………。
谷先生「って、うわぁ！あ、赤上！？お前何でセーラー服着てるんだ！？」
剣崎道一（剣道部主将）「あ、そう言えば……」
太田栗夫（オタク君）「い、違和感無さ過ぎて気付かなかったでござる……」
亀田貴奈（写真部ちゃん）「あ、今のうちに写真撮っとこう…」
クラスメートたちは驚いたり写真撮ったりしている。
小織「何でって…………だって今日は出席番号一番の生徒は反対の性別の制服を着てくるようにって、昨日の夜に摩耶………えっと、Ａクラス（特進クラス）の黒間久から連絡があったんですけど………」
谷先生「え……？」
難しい表情の小織に対して谷先生はポカンとしている。
小織「しかしよりによって出席番号一番なんて………何でウチのクラスには『秋本』も『芦屋』も『麻生』も『安藤』もいないんだ‥………………！」
道一「おい小織………その４人、いても全員お前より出席番号後だぞ？」
芦屋端流（陸上部君）「と言うか…………おい、芦屋はここに居るんだが……」
小織「そうだった！」
ビックリしている小織はさておき、不良グループが小織を見て笑っていた。
不理陽太（不良だ）「ゲラゲラゲラ！女みてえな顔のせいでセーラー服着てきても違和感ねえとかマジウケるんだけどｗｗｗ」
槍地田宗大（ヤリチンだそうだ）「マジそれな！てか、アイツあの外見なら俺抱けるわ」
柳矢郎（ヤンキー野郎）「てか、そんな訳分かんねえ情報信じるなよ。やっぱバカだなアイツ」
そんな不良達を見て小織はポカンとしている。
谷先生「その………赤上？すごく言いにくいんだが……」
小織「は、はい………なんですか……」
谷先生「そろそろ察してるとは思うんだが…………その情報はデマだ」
小織「………………………騙したな摩耶ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
小織くんの怒りの叫びが教室に響き渡りました。
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ちなみに隣の特進クラスであるＡクラスでは魔法でその状況を盗み見ていた小織の従姉の黒間久摩耶がお腹を抱えながら笑うのを必死に堪えていたそうな……。
黒間久摩耶（黒幕ちゃん）「あ、あははは…………お、お腹痛いわｗｗｗ……ホントに着て来るなんてｗｗｗ・……やっぱアイツはからかいがいがあるわねｗｗｗ」