おっきな御影先輩
名前:御影(みかげ)先輩
種族:ガーディアン・ガール
通称:駅前の守り姫
八尺さまと共にこの街の守護者。

 午後五時を少し過ぎたころ、駅前のロータリーに吹く風がふわっと変わった。
 誰かが「見て」と言った気がして、家に帰る人々が一斉に空を見た。
 そこにいたのは、信じられないほど大きな少女だった。
 セーラー服の襟が、ビルの屋上をかすめて揺れている。
 スカートの裾は、風に乗ってゆっくり波打ち、午後の光をきらきらと散らしていた。
 彼女は街を見下ろしていた。
 でも、その瞳は決して“見下す”ものではない。
 まるで、「大丈夫?」と静かに問いかけるように、優しく人々を包んでいた。
 子どもが泣いているのを見つけると、
 御影先輩は、そっとしゃがみこんだ。
 アスファルトが少し震え、バスの窓がカタリ…と鳴る。
 その瞬間、夕陽の光が彼女の頬を照らし、
 彼女の影が、まるで街全体を抱きしめるように伸びていった。
 誰も悲鳴を上げなかった。
 ただ、不思議なほどの安心が胸に広がっていった。
 冷たい風があたたかくなり、夕暮れがやさしく滲む。
 そのあと、御影先輩はゆっくりと立ち上がり、
 空を見上げて小さく微笑んだ。
 まるで「今日も守れたね」と言うように。
 電車が通過する音が響く。
 ホームの時計は、なぜか17時57分で止まっていた。
 それは、この街の人たちが今も信じている“奇跡の時刻”。
──彼女が現れた日を、誰もが忘れない。

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タバコすいませんさん
企画名:「お」から始まる言葉に参加させていただきます。
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