「あっ!おーい、みなさーん!こっちでーす!」

冬の夕暮れ。
吐く息が白くなるほど冷たいのに、私はつい声を張り上げてしまった。

――だって、嬉しい。

皆で初詣。
それも、あのメンバーで。

「遥さん、改めて明けましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします。こうして一緒に来られて嬉しいです」

澪さんと有紗さんが、穏やかに微笑む。
それだけで、胸の奥がぽっと温かくなる。

「おめでとうございます!
 今年は、最初からこんなに良いスタートで最高ですね!」

自分でも分かるくらい、テンションが高い。

「遥、少し落ち着きなさい」

香澄先輩の、半分呆れたような声。
でも、その後ろにはちゃんと笑みがある。

「はーい……でもだって、嬉しいんですもん」

「分かるけどね」
凪咲さんも、楽しそうに相槌を打つ。


神社へ向かう途中。
凪咲さんと有紗さんが、少し前を歩いて話している。

――仕事の話だ。

声は聞こえないけど、
真剣な横顔だけで分かる。

(ああ……)

胸の奥に、ほんの小さな棘が刺さった。

私は、あの会話に入れない。
専門が違う。立場も違う。

それは当たり前なのに。


(この時間が、ずっと続けばいいのに)

ふと、そんなことを思ってしまう。

今は楽しい。
今は、完璧だ。

でも――

もし、有紗さんが忙しくなったら?
もし、澪さんが別の道を選んだら?
もし、凪咲さんが来なくなったら?
もし……香澄先輩が、いなくなったら?

胸の奥が、じわっと冷える。

「……遥?」

香澄先輩の声。

「大丈夫?」

「え? あ、はい!」

慌てて笑う。
でも、きっと誤魔化せていない。


「ねえ」

香澄先輩は、歩きながら言った。

「今、何を失うか考えてたでしょ」

……図星だ。

「でもね」

一拍置いて。

「それって、今をちゃんと大事にしてる証拠よ」

「……」

「ただ、先取りして悲しまなくていい。それで今が楽しめないのは…勿体ないと思うから」

その言葉は、説教じゃなかった。
ただ、事実を置いただけ。

そして、私はふと普段の接客シーンを思い出していた。

――久しぶりに来た常連さん。

「やっぱり、ここ落ち着くね」

あの一言。
あの、ほっとした顔。
私はどちらも、とても大好き。

人は色んな理由で離れる。
でも、戻ってくる。

場所が、ちゃんとしていれば。

(……そうだ)

私がやることは、変わらない。
いつもの場所を守ることだ。


「香澄先輩」

「なに?」

「私、今年も全力でバーに立ちます」

先輩は一瞬驚いて、すぐ笑った。

「それでいい」


鳥居をくぐる。

夕焼けが、境内をオレンジ色に染めていた。

私は、深く一礼する。

(今年も――
 この場所で、笑顔を作れますように)

それが、私の願い。


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今回は1/2にうちの子5人で初詣に来た設定にしました。
去年の#1は澪さん、有紗さんが居なかったので5人勢揃いは初ですね。

#1
https://www.chichi-pui.com/posts/7110983b-d02a-4033-b540-d5c0e3c7f39c/

そして、ちょっとだけ、神社の雰囲気を変えてみました。
ほのかに切ない空気が漂ったのを見て、遥さんがちょっと切ない気持ちになるお話も添えています。
この5人がどこかに離れていくような展開にするつもりはないですが、遥さんの立場ではこういうことを考えてしまうかもなとい思いながら書いてみました。

私は自分では会話劇しか書けないのですが、chatGPTと相談してこういう物語風にも書けるようになってきました。…まだまだGPTの添削は外せないですけどね(;'∀')

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