【サラトバ#09】ウェスティリアの赤き商人

使用したAI Stable Diffusion XL
男は顔に似合わない、節くれだった武骨な手を差し出してきた。
「申し遅れた、俺の名はバルカ。港町ヴェアトリアのバルカだ」
しかし私はその手を握り返さない。
バルカは少しの間そのままにしていた手をやおら引っ込めると、どこか悲しそうなおどけ笑いを浮かべた。
「ところで俺のことを野盗か何かと勘違いしてなかったかい?」
「ああ、悪いが今でもそうじゃないかと思っている」
「それは酷いな、この顔をよく見てくれよ。サラトバ中を探したって、こんな美男子の野盗は一人もいないはずだぜ」
「ではなぜ木陰に隠れていた?」
軽口に応じない私を赤い目でじっと見つめた後、今度は何やら思わせぶりな笑みに表情を変えて、バルカと名乗る男は仰々しい身振り手振りで答えた。
「君の馬の近づく足音がやけに遠くからパッカパッカと荒々しく聞こえたもんだから、これはエルフェアル国境付近にたむろする横柄な野盗に違いないと思ったのさ」
「それは酷いな」
私は男と同じ言葉を発し、男の話術に乗せられてしまったことに苦笑いを浮かべる。
「私はスイ、冒険者だ」

呪文

入力なし

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