「……おい、ユウ。あまり先行するな。この辺りは『掃除屋』の連中がうろついてるって噂だ」

背後から声をかけたのは、ガラクタを詰め込んだバッグを背負った少年シンでした。前を歩く少女、ユウは立ち止まり、パーカーのフードを軽く直しながら振り返ります。

「シンは心配しすぎ。あいつら、昼間は地下のボイラー室で油売ってるよ。それより見てよ、この奥。お宝の山かもしれない」

ユウは路地裏の突き当たり、電子回路がむき出しになった廃棄マシンの山を指差しました。

「お宝って……ただのジャンクだろ。そんなの拾ってどうするんだよ」

「ただのジャンクじゃないよ。ほら、この基板。まだ微かに生きてる。これを街のジャンク屋に持っていけば、今夜の配給パンが豪華になるかも」

ユウは屈み込み、手慣れた手つきで機械の心臓部を抉り出します。彼女の胸元に描かれたドクロのマークが、スラムの淀んだ光を跳ね返しました。

「……たく。お前がそうやって無茶するから、いつも俺が尻拭いする羽目になるんだ」

「文句言わないの。シンだって、合成肉のステーキ食べたいでしょ?」

「そりゃ、食べたいけどさ。……おい、何か来るぞ。隠れろ!」

遠くから金属を擦るような嫌な音が響き、シンはユウの腕を引いて影に潜み込みました。

「……しっ。息を殺して。……あいつら、通り過ぎたみたい」

「……ねえ、シン。いつかさ、こんな煤けた空の下じゃなくて、本物の太陽が見える場所まで行けるかな」

ユウがひそめた声で呟くと、シンは彼女の頭をポンと叩きました。

「行けるさ。そのために、今はその『お宝』をしっかり抱えとけよ」

「……うん。行こう、シン。私たちの居場所を見つけるまで、止まってらんないもんね」

二人は再び立ち上がり、ネオンの光が届かない深い路地の奥へと、消えるように進んでいきました。

呪文

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