小説『荒廃都市の巡回へ』【ニャンノ世界】

【絵物語】
『荒廃都市の巡回へ』

世界は変わった
いや、変換したというべきか

曇天と晴天、時に終天じみた日和に歩みを進める軍人と小隊

巡回するは、かつてはジャズで有名な街だった。

ニャーオリンズ

しかして、歩めども、そこに広がるは、空虚なまでの虚無と無力感であった。

だからこそ、ニャーオリンズを都市とした結界の周囲にある外縁部をパトロールするのが、フリーダムホーク政府の要請による求めであり、フリーダムホーク軍は、各地よ都市にある、フリーダムホーク領域の防衛にあたるのが最善策であった。

最も、それらが機能するに至るまでは、終末事変から100年近くかかったもので、かつての国家形態からは大いに異なる統治機構が働いていた。

「一兵卒には政治のことなんて、わからないけど、昨日より今日が善ければ、それでいいんだよ」

ジャスリン・ミュラーは呟く

「祖先がジャズの演奏家でね、音楽は生きる力をくれるって、演奏するのが好きだったそうだよ」

民族的違いを越えるものは、武力ではなく音楽や芸術といった類いであった。

「今は、平和とはいえませんけどね」

隊員が呟く

任務を終えて、ご飯を食べる、
安息の時、ニャーオリンズの
カフェテリアには、美味しい匂いが鼻腔をくすぐり、微笑ませる。

機械演奏者がジャズを奏でる
心地の善い音楽

「音楽を聞ける余裕がなくとも聞けば心が安らぐさね」

ホットドッグを食べる、ジャスリン中尉、そして、コーラを飲み

心を落ち着ける。

「この世は終末、油断すれば、殺られちまう、護りたいもんは、眺めてちゃダメなんだ」

決意を込めた顔、
正義にアメコミのような理想なんてないし、悪のようなヴィランもいない。

この世はコミックではなく、リアル、代替え的な構成要素もない、一つだけのライフ、だからこそ、
ジャスリンは、仲間達のシルバータッグを握りしめ、安心して暮らせる都市のために今日を励むのだ。