本日のランチ
食彩探訪
しらすと菜の花のペペロンチーノ
皿が届いた瞬間、にんにくとオリーブオイルの香りの奥から、菜の花の青い匂いがふっと立ち上がった。
春のパスタというのは明るさだけでなく、こうしたほろ苦さが入ることで急に表情が深くなる。
しらすの塩気はやわらかく、麺に絡むたびに海の旨みを静かに残していく。
菜の花は火の入りがほどよく、しゃきりとした食感とほのかな苦みがきちんと生きていた。
前日の新玉ねぎとしらすの和風パスタがやさしい春なら、今日は少し輪郭のある春である。
唐辛子の辛みも強すぎず、全体を軽く引き締める程度に抑えられているのが心地いい。
しらすの白、菜の花の緑、赤唐辛子の彩りも美しく、見た目にも季節の勢いがあった。
派手な味で押し切るのではなく、素材それぞれの持ち味をきれいにつないだ一皿。
昼に食べるには軽やかで、それでいて印象はきちんと残る。
春の苦みまでごちそうにしてしまう、実に好ましいペペロンチーノだった。
次回予告
明日は、菜の花の春らしい青みから流れをつなぎつつ、重複を避けて軽やかな魚介の旨みを楽しめる「蛍烏賊とアスパラのバター醤油パスタ」を訪ねたい。
田嶋達郎
呪文
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