「……へへ、内緒で乗ってもバレないよね、これくらい」

夕方、アパートの前。
兄の愛車――いつも「触るな」と言われていた大きなバイクに、
彼女はこっそり腰を下ろしていた。

跨ったわけじゃない。ただ、座ってるだけ。
でもそれだけで、ちょっと背が伸びた気がするし、
ほんの少しだけ、大人になったような気がした。

「怒るかな。びっくりするかな……あの顔、ちょっと見てみたいかも」

そう、きっとびっくりする。
誰より大事にしてるバイクに、制服姿の妹が勝手に座ってたなんて。
しかもスカートのままで――それを知ったら、顔をしかめて、でも最後にはちょっと笑うかもしれない。

「バイクってさ、かっこいいよね。兄ちゃんが夢中になるの、わかる気する」

そうつぶやいて、彼女はほんの少しだけ胸を張る。
ほんのちょっとの背伸びと、ほんのちょっとのいたずら心。
夕陽に照らされて、その横顔はなんだか少しだけ誇らしげだった。

呪文

  • Steps 30
  • Scale 7
  • Seed 381132172
  • Sampler DPM++ 2M Karras
  • Strength 0
  • Noise 1
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