吹き荒れる黄金の砂嵐の中、彼女はただ前くだけを見つめていた。背後で崩れゆく尖塔の轟音も、頬をかすめる熱風も、今の彼女を止める理由にはならない。

固く結ばれた口元と、決意を宿した翠の瞳。その視線の先にあるのは、かつて共に笑い、そして守ると誓った「あの場所」だ。乱れる黒髪を厭わず、彼女は一歩、また一歩と乾いた大地を蹴り進む。

「——遅すぎるなんて、言わせないから」

小さく零れたその声は、風にかき消された。けれど、その胸に灯る火は決して消えない。灰色の空が世界を覆い尽くそうとも、彼女の旅路はここから始まるのだ。

呪文

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