ズッコケてもカチカチさせるなよ！！

2025/12/08

使用したAI Stable Diffusion XL

昼下がりの洋館喫茶「白百合邸」。
こよみは焼き立てスコーンを運ぶため、トングと皿を大事そうに持ってホールへ向かっていた。

「今日は絶対に転びません……！大丈夫、大丈夫……！」

自分に言い聞かせながら歩くが、ほんの一歩の段差に気づかず――

ガクッ！

「わぁっ……！！」

こよみは派手に前のめりに転んだ。
しかし。

皿は落とさない。
スコーンも崩れない。
そして――トングも、一切音を鳴らさない。

まるで「鳴らしたら負け！」という意地のように、こよみはしっかり握りしめたまま床にペタンと倒れ込んでいた。

静寂。

その様子を横で見ていたマスターが、呆れ半分に苦笑いする。

「……こよみ。転ぶのはもう仕方ないとしてだな」

「は、はい……！」

「トングだけは絶対鳴らさない、そのプロ根性みたいなの、なんなんだ？」

こよみは赤面しながら、胸を張って答えた。

「だって……鳴らしたら、お客様が“ケンカでも始まったのかな”って思うかもしれなくて……！
転んでも……お仕事の音は立てないようにって……」

「いや転ぶ音が十分すぎるほど立ってるんだけどな……」

マスターはため息をつきつつも、どこか嬉しそうだ。

「まあ、皿を守ったのは偉い。ほら、立ちな」

「ありがとうございますっ！次は絶対、完璧に運びますからっ！」

こよみが立ち上がると、常連たちが温かい拍手を送った。

こよみは照れた笑顔でぺこりとお辞儀する。

――転んでも、トングは鳴らさない。
それが椿原こよみという少女の、ささやかな誇りなのだった。

呪文

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イラストの呪文（プロンプト）

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