東京クロスワールド 第三章 観測者の記憶

使用したAI ChatGPT
第三章「観測者の記録」

(視点人物:朝比奈 冴)
◆◇◆



0

夜の東京。赤く染まった東京タワーの灯が、静寂の中でゆっくり瞬いていた。
騒動は終息したかに見えたが、現場にはいまだ、火薬のような魔力の残滓が漂っていた。

その現場に立つ一人の女――朝比奈 冴。

第零特務課所属。内閣直轄の、国家超常事象対策部門。彼女はそのなかでも、“観測”という最も冷静で冷酷な任務を担っている。

「綾野悠馬……いや、元勇者《クレイン》ね。やっと会えたわけだ」

スーツの襟元を軽く整えながら、冴は目を細める。
空気にはまだ、次元の歪みが残っている。魔導門――異世界とこの世界を繋ぐ門の痕跡だ。

だが、それだけではなかった。
「この世界の物理法則が、歪んでいる……」
冴の義眼が警告を発した。右眼の奥に埋め込まれた魔力検知装置が、かすかな波動を捉える。

「誰?」

建物の影から、人影が現れた。

「さすが、観測官殿。鼻が利く」

白いコート、茶色の目、顔立ちは中性的。
男とも女ともつかない雰囲気を纏った人物――斎木 蒼士(さいき そうし)。
元公安、現在は第零課の外部協力員、かつて冴と同じ班にいた。

「久しぶりね、蒼士。あなたも来てたの?」

「勇者が戻った夜だ。俺らが出張って当然だろ」

冴は小さくため息をついた。

「…“観測”は任せて。あなたは、あの子たちを巻き込まないで」

「“あの子たち”?あぁ……春原未来、か。巻き込まないさ。だが、奴はもう十分に踏み込んでる。勇者の隣に立ってしまった。だから、守るか、消すかしかないんだよ」

「……!」

冴は拳を握る。
冴にとって“守る”という行為は、最も難しい選択肢だ。
なぜなら彼女は、“見て、記録し、割り切る”ことしか知らない女だったからだ。



1

数時間後、霞が関・地下四階、第零課管制室。

「これが……彼の戦闘記録?」

冴の前に立つのは、白衣をまとった分析官・結城マコト。
モニターには、悠馬が魔神を斬る瞬間の映像が映っている。

「瞬間的に出力した魔力のレベルは、S+。この国で観測された個体では最上級……あれはもう、兵器として分類すべきでしょうね」

「兵器、ね」

冴は腕を組んだ。

「あの少年、戦いのあと一言こう言ったの。“あいつらには、もう好きにさせない”と」

「復讐心か、正義感か」

「そのどちらでもない気がする。ただ、あの子には……帰れる場所がないのよ」

冴の声は、珍しく、少しだけ揺れていた。

「私と同じ。帰れない人間。どこにも所属できない人間」

モニターの中の悠馬が、剣を収め、未来のもとへと歩いていく。

「観測記録、第14号――綾野悠馬。異世界帰還者、分類:勇者型。レベルS+。備考……“心に空白あり”」

冴は端末に打ち込んだ。



2

その夜、冴の住むマンション。
風呂上がりの冴は、グラスに赤ワインを注ぎながら、ふと鏡を見た。

「私も、あの世界に行っていたら……変わってたかしらね」

誰に言うでもない独白。

数年前、異世界と繋がるゲートに自ら志願して踏み込んだ冴は、“適合者不適合”の判定で即座に門からはじかれた。
才能も力もない。ただ“記録”することだけが与えられた役目。

だが、今は違う。

「今度は、見ているだけじゃ済まないかもね」

そのとき、端末が点滅した。

【報告:東京湾に再び魔力反応/対象:セラ=リュミナス(コードネーム:白銀の騎士)】

冴は眉をしかめた。

「……今度は“婚約者”の登場、ってわけ?」

ワインを飲み干し、冴はコートを手に取る。

「綾野悠馬。あなたは、また世界を巻き込む。だったら、私は最後まで見届けてやるわ」



次章予告

第四章「銀の騎士、セラ=リュミナス」

視点:セラ
異世界から東京に現れた“白銀の騎士”セラ。彼女が追ってきた真の目的とは?そして、彼女は悠馬の敵か、味方か――

呪文

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