天使さんのティータイム🎵

天使のティータイム

夕暮れの庭園に、柔らかなランプの灯りがともりはじめていた。煉瓦の壁にそっと影を落とし、夜の気配を包み込むように空気は甘く澄んでいる。
その白いテーブルに、ひとりの天使が腰掛けていた。淡いピンクが差した銀の髪をふわりと揺らし、頭上には光輪が静かに輝いている。

「ふう……今日も良い日だったわね」
彼女は湯気の立つ紅茶を唇に運び、微笑んだ。

その足元には、雪のように真っ白なウサギがちょこんと座り、まあるい目をきらきらさせている。
「ご主人さま、ケーキはまだですか？」
ウサギが訴えかける。

「もう少し待ってね。熱いお茶で舌をやけどしてはいけないでしょう？」
天使はやさしく笑いながら、テーブルの上のピンク色の菓子を一つ取り上げた。

その様子を、向こうの植え込みの上で、シルクハットをかぶった茶色のウサギが誇らしげに眺めていた。
「ふむ、礼儀正しいおもてなしだな。まさに女神のようなお方だ」
彼は胸を張り、ひげをぴんと伸ばした。

「あなたもどう？　ほら、このフルーツタルトは甘酸っぱくて、元気が出るの」
天使がすすめると、帽子のウサギは慌てて跳ね下り、テーブルの端に座り込んだ。
「ほほう！　それでは遠慮なく！」

しばし、テーブルには楽しげな笑い声が満ちた。
紅茶の香り、ランプのぬくもり、そして静かに瞬く星々。
夜のはじまりを告げる庭で、天使とウサギたちは心を通わせるように語り合った。

「ねえ、また明日も一緒にお茶しましょう？」
天使が問いかけると、ウサギたちは声をそろえてぴょんと跳ねた。

それはまるで、月明かりに祝福された合図のようだった。