腐臭の道の先、やがて広間へと到達する。
薄暗く電子機器が放つ僅かな光に照らされ、
ローブを纏う男がうっすらと浮かび上がる。
「なんだ…、司祭級か。もっと大物だと思ったんだがな」
私の声に男が振り返り、ようこそと、手を広げ軽く会釈した。目深に被ったフードの奥でニヤリと嘲笑っている。
人間ではない何か。邪悪なオーラが辺りに満ちる。
「お出迎えも出来ずに申し訳ありません」
その風貌とは裏腹に男は穏やかに語りかけてきた。
「いや、こちらもアポなしで失礼した。パーティー会場はここで良かったか?ドレスコードは…スーツでも問題ないか?」
男に合わせ私も冗談混じりに会釈を返す。
「良くお似合いですよ、お嬢様」
クックックッと男が喉の奥で嘲笑う。
嫌な笑い方だ。
「しかし、ここはパーティー会場などではありませんよ?何か勘違いされていませんか?」
「いや…ここで間違いない」
私は男の背後にある建造物に視線を移す。
異界門。この世界にあってはならないもの。
「そうですか…。貴女はアレが何か知っているのですね?」
「茶番はここまででいいだろう?」
私は刀を構える。
男の瞳が妖しく光る。
「消えるがいい!デーモンロード!」