福岡国歴225年、11月29日・土曜日。

 とうとう、ウチ、16歳の誕生日を迎えたっちゃ♪

「ふんふ〜〜ん♪」

 身支度しながら、つい鼻歌がこぼれてしまう。
 だって今日は、ラーヴィにぃにと一日誕生日デートなんやもん♪
 えっへへ〜♪ オシャレ、ちゃんと気合い入れとかなね♡ にひっ♪

 メイクも……「あんまりしなくていい」って言うけど、 ウチはしたいんよ〜。ん〜、似合っとるかなぁ?

 アイライナーもナチュラルに仕上げたし、悪くないと思うっちゃけど……どうやろ?
 ん〜? 悪くない、よね? んふふ♪ 睫毛も軽くブロウして……よし☆ できた♪

 さて衣装やけど、今日の本命コーデはこっち!

 インナーは、手編みの白いタートルネックセーター♪
 ボトムは、お気に入りの水色のプリーツロングスカート。流水みたいに流れるように見えて好き♪
 寒いやろうき、チャコールグレーのタイツも履いとこ♪
 アウターはホワイトパールカラーのロングコートを羽織って――

 どうかな? 似合っとるかな? にぃにの感想、楽しみっちゃ♡

 それじゃあ、桜豊湖葵、出撃バイ☆

*  *  *  *

 部屋を出てリビングに向かうと、ちょうど月美お姉ちゃんと椿咲、ミントが朝ごはんの準備をしていた。
 んっふ〜♪ いい香り〜!
 でも、朝ごはんはにぃにと食べる予定やけん、ここは我慢っ!

「おはよ〜♪ 葵。バッチリ決まってるじゃん♪」
「可愛いですわ〜! オシャレですし、素敵です♪ 葵♪」
「気合い入れてるわねぇ〜♪ 羨ましいわぁ。でも――」

 3人が顔を見合わせたかと思ったら、いつの間にか手にクラッカーを持ってて――

「「「誕生日おめでとう〜〜〜♪ 葵♡」」」

 パァ〜〜〜ンッ♪ 勢いよくクラッカーが鳴って、紙吹雪がリビング中に舞い散った。

「うきゃっ♪ ありがと〜〜〜〜〜♪ みんな〜っ♪」

 こうやって、家族に祝ってもらえるなんて……ウチ、ほんとに幸せ者やね。

 それに――

「今日はラーヴィとお誕生日デートでしょ? どこ行くの〜?」

 お姉ちゃんが聞いてきた。ウチは今日の予定を思い返しながら――

「んとね、まずは大宰府に寄って、お母さんとお父さんのお墓参りのお供え買うとよ♪ お墓参り終えた後は、にぃににお任せ♪」
「素敵ですわね♪ 来年のわたくしの誕生日には、わたくしもラーヴィ様と2人きりのデート、所望しようかしら?」
「私もしたいわぁ……みんなと一緒もいいけど、誕生日デートはやっぱり! 2人きりがいいわよね〜♪」

 うん、それはウチも同意♪ 特別な日くらいは……2人きりが、やっぱりいいんよね。

 そう、話すと長くなるんやけど、ウチたちは彼と付き合っている。
 ここには居ないけれど、大宰府の幻刃を入れると……5人になる。

 今までいろんな試練があった。命を懸けて国を守った。九州を脅かす、大邪神とも戦った。
 もはやウチたち5人の女子は、命の底から絆が繋がっていた。
 そして、ラーヴィにぃにを真剣に愛してる。

 だからこそ、誰かが欠けてしまうのは、全員が納得できない……そこで――!
 皆でにぃにを『夫として共有』している。これが、ウチたちの決め事なん。

 けど……今日は、ウチの番やけんね♡

「ごめんね、みんな。今日はにぃに借りるけん♪ それじゃ、行ってきま〜す♡」

「「「いってらっしゃ〜い♪ 楽しんでね〜♪」」」

 みんなの見送りを受けて、ウチは待ち合わせ場所へ向かった。
 今日は、きっと――今年でいちばん、最高の日になるっちゃ♪

*  *  *  *

 お城のエントランスに向かうと――あっ♡ にぃに!

 今日は執事服じゃなくて、私服でってお願いしとったんやけど……!

 インナーはチャコールグレーのタートルネックニットに、アウターはグレーのロングコート。黒のスラックスに、磨かれた黒の革靴(魔獣の皮製)――ビシッと決まっとる!

 ……はわわ♡ 完璧すぎるやん!

「おはよう、葵。今日はよろしく」

 にっこり笑ってくれたけど、ちょっと照れた感じもあって……

 にぃにも、ウチのこと意識してくれとるんかな? やばばっ! 嬉しすぎて、心臓がバクンバクン鳴る! 体がぽかぽかしてきた!

 まだや! 落ち着け、ウチ! 桜豊湖葵、平常心ばい!
 バレんように、そっと深呼吸して――

「おっはよ〜♪ にぃに。ウチこそ♪ デートできてうれしいっちゃ♡」
「ならよかった。ちょっと早いけど……誕生日おめでとう、葵」
「えへへ♪ ありがと〜♪」

 うん、もうこの時点でウチの人生に一片の悔いもないって気分やけど――でも、今日はまだ始まったばっかりやん♪

 ウチはにぃにの腕にぎゅっと抱きついて――

「えと、今日は……恋人同士のデート、やきね?」
「う……うん、わかってる。それじゃ、まずは大宰府にお供え物を買いに行こう」
「おっけ〜☆ えへへ♪ それじゃ、車お願いしま〜す♪」

 にぃにと一日、誕生日デート♡ 今日は、ウチの人生でいちばん楽しい日になる予感しかせんっちゃ♪

 ふと、にぃにがウチの姿を見て、ちょっとだけ顔を赤らめて――

「……すごく、似合ってる。可愛いよ、葵」

 照れながら、ぽつりとつぶやいた。

 はいっ! もう、楽しいしかない確定!

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