「ねぇ、買い物付き合ってよ」

 土曜の昼、理紗姉にそう言われて連れてこられたのは、大型ショッピングモールだった。
 何を買うのかと思っていたら、案内された先はまさかの水着専門店。

「……なんで俺?」

「いいじゃん、幼なじみなんだし」

 理紗姉は気軽な様子で店内を見回しながら、ラックからいくつか水着を手に取っていく。

「昔のやつ、ちょっと入らなくなってきてさ」

「へぇ」

「特に上の方」

「そこ説明しなくていいから!」

 俺が慌てると、理紗姉はケラケラ笑った。
 そして試着室の前で見せてきたのが、二つの水着だった。
 一つは可愛い感じのピンクのフリルビキニ。  もう一つは――やたら布面積の少ない、黒いマイクロビキニ。

「はい、どっちがいいと思う?」

「いや、その黒いやつ攻めすぎじゃない?」

「そう?」

 理紗姉は悪戯っぽく笑いながら、ぐいっと距離を詰めてくる。

「でもキミ、こういうの好きそう」

「好きとかじゃなくて!」

「じゃあ想像してみた?」

「するわけ――」

 言いかけて止まる。
 黒いマイクロビキニ姿の理紗姉が一瞬頭に浮かんでしまい、顔が熱くなった。

「……あ、した」

「してない!」

「わかりやすっ」

 理紗姉は肩を揺らして笑う。
 さらに追い打ちみたいに、ピンクのビキニを胸元に合わせて、

「こっちなら清楚系? でも黒の方がスタイルわかりやすいよねぇ」

「やめろって……!」

「どっち見たい?」

「見たいとかじゃない!」

 完全に遊ばれていた。
 店の中なのに、理紗姉は全然気にしてない。  むしろ俺の反応を楽しんでる。

「ふーん」

 ニヤニヤしたまま少し考えてから、理紗姉は二着とも抱え直した。

「ま、決めた」

「どっち買うんだよ」

「秘密」

 そう言ってレジへ向かいかけたあと、理紗姉は振り返る。

「あとで着て見せてあげるね♡」

「っ!?」

 固まる俺を見て、理紗姉は満足そうに笑った。
 ――絶対、わざとだ。

フリルビキニ
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マイクロビキニ
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