『深夜のバトルフィールド』

金曜の夜。
　涼音の家で一緒に過ごした週末以来、アシュリーと凜猫はオンラインで遊ぶことが増えていた。

　今夜のゲームはPCの対戦型シューティング。
　ディスコードの通話から、アシュリーの明るい声が響く。

アシュリー：「OK, Rin-Nya！　準備オーケー？　今日は絶対勝つよ！」
凜猫：「その呼び方やめろって言ってるでしょ！　……まあ、負けないけどね」

　試合が始まると、アシュリーは派手に突撃し、豪快に敵を倒していく。
　一方の凜猫は冷静にマップを読み、狙撃ポジションから正確にキルを重ねる。

アシュリー：「Wooo!! Triple kill！　見た？見た？　私、神じゃない？」
凜猫：「はいはい。無駄に突っ込んでデス数も倍だけどね」
アシュリー：「Noooo！　今のは戦略的犠牲！」
凜猫：「はいはい、戦略的ポンコツね」

　残り時間1分、二人のスコアは僅差。
　アシュリーが大声を上げた。

アシュリー：「Rin-Nya、後ろに敵いるよ！」
凜猫：「……嘘でしょ、それ囮でしょ」
アシュリー：「え、なんでわかるの!?」
凜猫：「だって、あなたの声、すぐウソつく時だけテンション違うもん」

　結果、ラストキルを取った凜猫が僅差で勝利。
　画面越しに、アシュリーが子供のように机に突っ伏すのが目に浮かぶ。

アシュリー：「Ughhh… Rin-Nya is too strong…」
凜猫：「ふふん、もっと修行してから来なさい、お姉さん」
アシュリー：「じゃあ次は、勝つまで寝ないマラソンね！」
凜猫：「……えっ、ちょ、それは…」

　その夜、二人の戦いは深夜3時まで続いたという。