猛攻 取り敢えず美琴さん視点終わり
使用したAI
その他
※どうでも良いけど……登場人物多すぎていつもつけてる駄文タグが入らなかった(;_;)
最初に美琴さん視点だと今まで関わりのうすかったキャラクターの紹介を
①エイダさんー美琴さんから長の座を奪った天才。人類の限界を超えた強さを誇る氷使い。戦闘面以外はポンコツ。ぬいぐるみが好き。
②ニーアさんーエイダさんの腹心。副隊長。指揮能力と音魔法による広範囲のバフ、デバフをばらまく術師。属性は水だが、直接的な戦闘力は乏しい。アイドルとしての顔も持ち。組織のイメージ向上と実質的な組織の経営もしている。
③メイリンさんー美琴さんの分家出身。召喚術を求め大陸に渡った一族の子孫。召喚術の使い手。戦闘用としては火の鳥、水竜をメインで使い。黒い亀を盾として使う、ペット枠として白い猫の召喚獣もいる。
血縁あっても美琴さんとは関わりが薄い。原因は不明だが借金を抱えており。それを立て替えてくれたニーアさんのパシリ。
相変わらず何処かぎこちない雰囲気の私とジェリーさん。
その間を取り持とうと頑張る千葉さん。
だけど...…彼女の頑張りは空回りしていた。
彼女の気遣いは正直嬉しい。
でも、今はもう少しだけ放っておいて欲しかった。
私だってジェリーさんと仲直りはしたい。
ただ……これ以上ジェリーさんを選んだら……
きっと私のそれまでの大切なもの達は無くなってしまう気がするんだ。
そんな感じで数日が過ぎた時。
事件が起こった――
あの女。魔王軍四天王を名乗ったグラが襲って来たのだ。
それもおびただしい程の魔物を連れて……
それに真っ先に突っ込んで行ったのは、よりにもよって隊長であるエイダだった。
「はっ敵の幹部様のご登場って訳か……良いねえ腕がなる。ニーアいつもみたいに指揮は任せる。信じてるぞ‼」
「まったく……隊長のあんたが真っ先に突っ込んでどうするのよ……仕方がないわね。メイリン‼ 空から来る敵はあんたに任せる。美琴、ジェリー、あんたらは遊撃を任せる。一匹でも多く倒してちょうだい……正直あんた達の事はまだ信用できないけど……これを生き延びたら少しは信じてあげるわ。だから死ぬんじゃないわよ‼」
そして、エイダの懐刀であり副隊長であるニーアが指揮を取る。
「はあ……日本に来たのは失敗でしたね……火の鳥、水の竜……私達も行きますよ‼」
最後にうちの分家でありながら中国に渡った一族の末裔メイリンが空をかける。
◆
私はジェリーさんと共に行くべきか一瞬迷い……
それがきっかけで彼女たちを見送る事になった。おそらくジェリーさんも……
そうじゃなければ彼女ならとっくに動いてる筈。
「何やってるんですか二人とも。今はそれどころじゃないのわかるでしょう? さあ、行きましょう。迷うのは後でいくらでも出来ます。戦場で迷ったら死ぬんです。私は二人の香典なんて出したくないんですから」
「そうですね。すいません千葉さん。行きましょうジェリーさん‼」
「ええ、そうね」
私はジェリーさん、そして千葉さんと共に前線に向かう――
「美琴、私から離れないでね!」
「ええ、ジェリーさん‼」
とはいっても敵が私達の言うことを聞いてくれるわけではない。
次第に魔物の大群が押し寄せ、私たちは徐々に孤立させられていく。
ピンクの霧が視界を奪い、二人の声が遠のく。
気がつけば、私は……ひとりだった。
◆
「やぁっと見つけた」
甘く冷たい声。ピンクの霧の中から現れたのは……グラ‼
しかも、彼女が従えてるのは――
美沙、それに皆‼
「み、んな……なんでみんなが? 逃げて‼ こいつから逃げてみんなっ‼」
だが彼らの瞳からは光が消え、まるで生気を抜かれた人形のようだった。
「さあ遊びましょう? あなたの“心の強さ”を見てあげる。それとも……あなたもトモダチになる? ねえ、みんな……みんなもこの子が居たほうが寂しくないでしょ?」
「やめて……っ!」
「い~やっ。やっちゃえみんな‼」
「はい、グラ様。ねえ美琴……あなたは私の友達よね? なら、あなたも一緒にトモダチになろ?」
次の瞬間、皆は私に襲いかかる。
グラに操られているからだろうか……その動きは人間の限界を超えてる……
これは反撃しなければやられる。
でも――
皆との想い出が甦る。
私が腐っていたとき私を引っ張り出してくれた美沙。
それに今私を殴ってる亜梨紗は優しくそばにいてくれた。
それに……それに……
「嫌だ……こんなの、嫌……!」
迫りくる刃。あれは……美沙……ダメッあの軌道は避けないと‼
でも、避けるって何処へ?
亜梨紗が、早紀が私の腕を掴む。
「避けて美沙‼」
とっさに術式を放ってしまい、友人たちの身体が弾き飛ばされ――
赤い血が、私の頬を濡らす。
「あ……」
私は今何を?
この血は誰の血?
「いやっいや……いやぁぁあああああああ‼」
その血に触れた瞬間、術が暴走した。
胸が締めつけられ、魔力の流れを操ることが出来ない。
その隙を――彼女が見逃すはずもなかった。
「はい、終わり」
細い指が私の首元を掴み、身体が宙に浮く。
◆
その瞬間――稲光のように鋭い一条の光が闇を切り裂いた。
「離れなさい!!」
千葉さんが血相を変えて飛び込んでくる。
その銃弾はグラの頬を掠め、黒い血を散らすことに成功した。
それは図らずも私が美沙の血をあびたのと同じ場所。
「……ッ、あなた……!」
「美琴さんは渡さない!」
だが、千葉さんは次の瞬間、反撃の爪に胸を貫かれた。
「カハッ――」
「ち、千葉さん‼」
血が溢れ、千葉さんの身体が倒れていく。
でも、最後までその腕はグラの腕に伸びて。
「貴女……だけでも逃げなさい……みことさ……」
簡単にその腕は蹴りあげられた。
「ふふふ……気に入ったわ……貴女は殺さない……今日は先約があるけど。いつか私のトモダチにしてあげる」
グラは笑いながら私を担ぎ上げ、霧の向こうへ消えた。
「ち……千葉さん……」
あ……あああああああああああああああああ
壊れる……皆壊れてく……いや……イヤァ……
「ジェリーへの、お土産♪」
◆ここで語り手が消え視点は……へと移り変わる
しばらくして。
血を流しながら倒れている千葉の前に、ジェリーが駆けつけた。
「千葉さん! しっかりして!」
「……ジェリーさん、私のことは……いいんです……。あの血……追って……」
指さされた黒い血の痕跡は、グラの撤退ルート。
恐らく血の後を消さないのはわざとだろう。
それでもきっとその先にいる。
「そんな怪我で放っておけないでしょ……!」
「行って‼ ……美琴さんを、お願い……」
千葉の叫びに、ジェリーは顔を歪める。
(私は……また、守れないの?)
震える拳。
そして、決断する。
「……ごめんなさい。あなた達との約束もここまでかも……」
ジェリーは胸に手を当て、深い闇を引き裂くように呟いた。
「封印よ――戻れ」
瞬間、体から禍々しい緑の霧が噴き出す。
地面が鳴動し、異形の影が無数に生まれた。
「スライムよ、彼女を守れ。……千葉さんを、決して死なせないで‼」
スライムたちが千葉を包み守る。
一瞬惜別を惜しむかのようにその姿を視界に入れると。振り払うかのように首を振る。
ジェリーはただ一人、血の痕を追って闇へ走り出した。
◆
闇を裂くジェリーの力は、かつて江戸の世を恐怖で染め上げた“魔”そのものだった。
逃げるグラの影がついに立ち止まり、振り返る。
「来たわね……ジェリー」
「美琴を返せ」
「ねぇ……本当に返していいの?」
グラが指を鳴らした瞬間。
ジェリーの視界に――“幻”が広がった。
美沙達が怯え、
町の人々が逃げ惑い、
美琴が――ジェリーを恐れて泣き叫んでいる。
「こないで……ジェリーさんなんか……大っ嫌い……! あなたが来なければ……美沙も……千葉さんも傷つかなくてすんだのに‼ 貴女さえ来なければ‼」
幻だと分かっていても、胸が裂けるようだった。
(……慣れているわ)
ジェリーはぼそりと呟いた。
「嫌われることなんて、もう慣れっこよ」
その一歩で幻が砕け散り、闇が裂けた。
ジェリーの拳がグラの胸を貫き、黒い血が吹き出す。
千葉の傷と同じ場所を抉ったのは偶然か……それとも……
「がっ……! あの時……私にはその手を伸ばしてくれなかったクセに……!」
グラは顔のない顔を鬼のように歪め、ジェリーを睨みつけた。
「でも、もう遅いわ。この子の心は壊した。
本当は優しくトモダチにしたかったのに……私の手を振り払うからよ」
そう言うと――
気を失った美琴(私)の身体を、ジェリーに投げつけた。
「ほら、受け取りなさい」
一瞬ジェリーの視線が美琴を追ってそれた瞬間。
グラは霧となって消えた。
◆
「……また、守れなかった」
ジェリーさんは私を抱きとめ、膝をついた。
その肩が震える。
私はジェリーさんの事は認識できていたけど……
体はピクリとも動かなかった。
「美琴……ごめんなさい……私は……」
ジェリーさんの涙がこぼれる――。
その涙が私の体にこぼれ落ちたとき。
しゃりん……
あの鈴の音が、静かに響いた。
ジェリーさんから預かったあの“鈴”。
私の力を押さえていたと言うあの鈴だ。
弱く、けれど確かに響いたその音に、私の指が僅かに動いた。
「ジェ……リーさん……?」
ゆっくりと、目が覚める。
体が重い……でも今はそんなことを言ってる場合じゃない。
今動かないとこの人はきっと……
「美琴……! 駄目、私に……近づかないで……!」
やっぱりジェリーさんは離れようとする。
その姿は、封印を解いたままの“魔”そのものだった。
だが私は――
その腕を強く掴み、離さなかった。
「行かないで……!
ジェリーさんが……助けてくれたんでしょう……?」
「俺は……あなたの心を……壊して……!」
「壊れてません……。
だって……鈴が、教えてくれたから……」
震える手でジェリーさんの体を抱きしめた。
「あなたは……私を、守ってくれたって……それこそ……私が生まれる前から何度も何度も……」
そんなのを知っちゃったら……もうダメだった……
きっと今回みたいな問題はまた起きる。
でも、きっと乗り越えられる……
あなたと私なら……
そう、何度も何度も失敗したけど……
今度こそはきっと……
ジェリーさんの腕が、そっと私の背中に回る。
問題は山積みだけど……
闇の中、ようやく――
二人の距離が、今度こそ確かに繋がった。
※後書き的ななにか
本格的にストーリーが始まった後の最初の襲撃を乗り越えたところまで。
なお、血液描写がダメなせいでイラストのシーン選別がめんどくさかったw
取り敢えず今回はここまで
最初の強敵グラちゃんとの勝負が終わった所までで。
本当はこの後日常パート入れるつもりだったけど。
昨日データが飛んで体力がつきたΣ( ̄ロ ̄lll)
最初に美琴さん視点だと今まで関わりのうすかったキャラクターの紹介を
①エイダさんー美琴さんから長の座を奪った天才。人類の限界を超えた強さを誇る氷使い。戦闘面以外はポンコツ。ぬいぐるみが好き。
②ニーアさんーエイダさんの腹心。副隊長。指揮能力と音魔法による広範囲のバフ、デバフをばらまく術師。属性は水だが、直接的な戦闘力は乏しい。アイドルとしての顔も持ち。組織のイメージ向上と実質的な組織の経営もしている。
③メイリンさんー美琴さんの分家出身。召喚術を求め大陸に渡った一族の子孫。召喚術の使い手。戦闘用としては火の鳥、水竜をメインで使い。黒い亀を盾として使う、ペット枠として白い猫の召喚獣もいる。
血縁あっても美琴さんとは関わりが薄い。原因は不明だが借金を抱えており。それを立て替えてくれたニーアさんのパシリ。
相変わらず何処かぎこちない雰囲気の私とジェリーさん。
その間を取り持とうと頑張る千葉さん。
だけど...…彼女の頑張りは空回りしていた。
彼女の気遣いは正直嬉しい。
でも、今はもう少しだけ放っておいて欲しかった。
私だってジェリーさんと仲直りはしたい。
ただ……これ以上ジェリーさんを選んだら……
きっと私のそれまでの大切なもの達は無くなってしまう気がするんだ。
そんな感じで数日が過ぎた時。
事件が起こった――
あの女。魔王軍四天王を名乗ったグラが襲って来たのだ。
それもおびただしい程の魔物を連れて……
それに真っ先に突っ込んで行ったのは、よりにもよって隊長であるエイダだった。
「はっ敵の幹部様のご登場って訳か……良いねえ腕がなる。ニーアいつもみたいに指揮は任せる。信じてるぞ‼」
「まったく……隊長のあんたが真っ先に突っ込んでどうするのよ……仕方がないわね。メイリン‼ 空から来る敵はあんたに任せる。美琴、ジェリー、あんたらは遊撃を任せる。一匹でも多く倒してちょうだい……正直あんた達の事はまだ信用できないけど……これを生き延びたら少しは信じてあげるわ。だから死ぬんじゃないわよ‼」
そして、エイダの懐刀であり副隊長であるニーアが指揮を取る。
「はあ……日本に来たのは失敗でしたね……火の鳥、水の竜……私達も行きますよ‼」
最後にうちの分家でありながら中国に渡った一族の末裔メイリンが空をかける。
◆
私はジェリーさんと共に行くべきか一瞬迷い……
それがきっかけで彼女たちを見送る事になった。おそらくジェリーさんも……
そうじゃなければ彼女ならとっくに動いてる筈。
「何やってるんですか二人とも。今はそれどころじゃないのわかるでしょう? さあ、行きましょう。迷うのは後でいくらでも出来ます。戦場で迷ったら死ぬんです。私は二人の香典なんて出したくないんですから」
「そうですね。すいません千葉さん。行きましょうジェリーさん‼」
「ええ、そうね」
私はジェリーさん、そして千葉さんと共に前線に向かう――
「美琴、私から離れないでね!」
「ええ、ジェリーさん‼」
とはいっても敵が私達の言うことを聞いてくれるわけではない。
次第に魔物の大群が押し寄せ、私たちは徐々に孤立させられていく。
ピンクの霧が視界を奪い、二人の声が遠のく。
気がつけば、私は……ひとりだった。
◆
「やぁっと見つけた」
甘く冷たい声。ピンクの霧の中から現れたのは……グラ‼
しかも、彼女が従えてるのは――
美沙、それに皆‼
「み、んな……なんでみんなが? 逃げて‼ こいつから逃げてみんなっ‼」
だが彼らの瞳からは光が消え、まるで生気を抜かれた人形のようだった。
「さあ遊びましょう? あなたの“心の強さ”を見てあげる。それとも……あなたもトモダチになる? ねえ、みんな……みんなもこの子が居たほうが寂しくないでしょ?」
「やめて……っ!」
「い~やっ。やっちゃえみんな‼」
「はい、グラ様。ねえ美琴……あなたは私の友達よね? なら、あなたも一緒にトモダチになろ?」
次の瞬間、皆は私に襲いかかる。
グラに操られているからだろうか……その動きは人間の限界を超えてる……
これは反撃しなければやられる。
でも――
皆との想い出が甦る。
私が腐っていたとき私を引っ張り出してくれた美沙。
それに今私を殴ってる亜梨紗は優しくそばにいてくれた。
それに……それに……
「嫌だ……こんなの、嫌……!」
迫りくる刃。あれは……美沙……ダメッあの軌道は避けないと‼
でも、避けるって何処へ?
亜梨紗が、早紀が私の腕を掴む。
「避けて美沙‼」
とっさに術式を放ってしまい、友人たちの身体が弾き飛ばされ――
赤い血が、私の頬を濡らす。
「あ……」
私は今何を?
この血は誰の血?
「いやっいや……いやぁぁあああああああ‼」
その血に触れた瞬間、術が暴走した。
胸が締めつけられ、魔力の流れを操ることが出来ない。
その隙を――彼女が見逃すはずもなかった。
「はい、終わり」
細い指が私の首元を掴み、身体が宙に浮く。
◆
その瞬間――稲光のように鋭い一条の光が闇を切り裂いた。
「離れなさい!!」
千葉さんが血相を変えて飛び込んでくる。
その銃弾はグラの頬を掠め、黒い血を散らすことに成功した。
それは図らずも私が美沙の血をあびたのと同じ場所。
「……ッ、あなた……!」
「美琴さんは渡さない!」
だが、千葉さんは次の瞬間、反撃の爪に胸を貫かれた。
「カハッ――」
「ち、千葉さん‼」
血が溢れ、千葉さんの身体が倒れていく。
でも、最後までその腕はグラの腕に伸びて。
「貴女……だけでも逃げなさい……みことさ……」
簡単にその腕は蹴りあげられた。
「ふふふ……気に入ったわ……貴女は殺さない……今日は先約があるけど。いつか私のトモダチにしてあげる」
グラは笑いながら私を担ぎ上げ、霧の向こうへ消えた。
「ち……千葉さん……」
あ……あああああああああああああああああ
壊れる……皆壊れてく……いや……イヤァ……
「ジェリーへの、お土産♪」
◆ここで語り手が消え視点は……へと移り変わる
しばらくして。
血を流しながら倒れている千葉の前に、ジェリーが駆けつけた。
「千葉さん! しっかりして!」
「……ジェリーさん、私のことは……いいんです……。あの血……追って……」
指さされた黒い血の痕跡は、グラの撤退ルート。
恐らく血の後を消さないのはわざとだろう。
それでもきっとその先にいる。
「そんな怪我で放っておけないでしょ……!」
「行って‼ ……美琴さんを、お願い……」
千葉の叫びに、ジェリーは顔を歪める。
(私は……また、守れないの?)
震える拳。
そして、決断する。
「……ごめんなさい。あなた達との約束もここまでかも……」
ジェリーは胸に手を当て、深い闇を引き裂くように呟いた。
「封印よ――戻れ」
瞬間、体から禍々しい緑の霧が噴き出す。
地面が鳴動し、異形の影が無数に生まれた。
「スライムよ、彼女を守れ。……千葉さんを、決して死なせないで‼」
スライムたちが千葉を包み守る。
一瞬惜別を惜しむかのようにその姿を視界に入れると。振り払うかのように首を振る。
ジェリーはただ一人、血の痕を追って闇へ走り出した。
◆
闇を裂くジェリーの力は、かつて江戸の世を恐怖で染め上げた“魔”そのものだった。
逃げるグラの影がついに立ち止まり、振り返る。
「来たわね……ジェリー」
「美琴を返せ」
「ねぇ……本当に返していいの?」
グラが指を鳴らした瞬間。
ジェリーの視界に――“幻”が広がった。
美沙達が怯え、
町の人々が逃げ惑い、
美琴が――ジェリーを恐れて泣き叫んでいる。
「こないで……ジェリーさんなんか……大っ嫌い……! あなたが来なければ……美沙も……千葉さんも傷つかなくてすんだのに‼ 貴女さえ来なければ‼」
幻だと分かっていても、胸が裂けるようだった。
(……慣れているわ)
ジェリーはぼそりと呟いた。
「嫌われることなんて、もう慣れっこよ」
その一歩で幻が砕け散り、闇が裂けた。
ジェリーの拳がグラの胸を貫き、黒い血が吹き出す。
千葉の傷と同じ場所を抉ったのは偶然か……それとも……
「がっ……! あの時……私にはその手を伸ばしてくれなかったクセに……!」
グラは顔のない顔を鬼のように歪め、ジェリーを睨みつけた。
「でも、もう遅いわ。この子の心は壊した。
本当は優しくトモダチにしたかったのに……私の手を振り払うからよ」
そう言うと――
気を失った美琴(私)の身体を、ジェリーに投げつけた。
「ほら、受け取りなさい」
一瞬ジェリーの視線が美琴を追ってそれた瞬間。
グラは霧となって消えた。
◆
「……また、守れなかった」
ジェリーさんは私を抱きとめ、膝をついた。
その肩が震える。
私はジェリーさんの事は認識できていたけど……
体はピクリとも動かなかった。
「美琴……ごめんなさい……私は……」
ジェリーさんの涙がこぼれる――。
その涙が私の体にこぼれ落ちたとき。
しゃりん……
あの鈴の音が、静かに響いた。
ジェリーさんから預かったあの“鈴”。
私の力を押さえていたと言うあの鈴だ。
弱く、けれど確かに響いたその音に、私の指が僅かに動いた。
「ジェ……リーさん……?」
ゆっくりと、目が覚める。
体が重い……でも今はそんなことを言ってる場合じゃない。
今動かないとこの人はきっと……
「美琴……! 駄目、私に……近づかないで……!」
やっぱりジェリーさんは離れようとする。
その姿は、封印を解いたままの“魔”そのものだった。
だが私は――
その腕を強く掴み、離さなかった。
「行かないで……!
ジェリーさんが……助けてくれたんでしょう……?」
「俺は……あなたの心を……壊して……!」
「壊れてません……。
だって……鈴が、教えてくれたから……」
震える手でジェリーさんの体を抱きしめた。
「あなたは……私を、守ってくれたって……それこそ……私が生まれる前から何度も何度も……」
そんなのを知っちゃったら……もうダメだった……
きっと今回みたいな問題はまた起きる。
でも、きっと乗り越えられる……
あなたと私なら……
そう、何度も何度も失敗したけど……
今度こそはきっと……
ジェリーさんの腕が、そっと私の背中に回る。
問題は山積みだけど……
闇の中、ようやく――
二人の距離が、今度こそ確かに繋がった。
※後書き的ななにか
本格的にストーリーが始まった後の最初の襲撃を乗り越えたところまで。
なお、血液描写がダメなせいでイラストのシーン選別がめんどくさかったw
取り敢えず今回はここまで
最初の強敵グラちゃんとの勝負が終わった所までで。
本当はこの後日常パート入れるつもりだったけど。
昨日データが飛んで体力がつきたΣ( ̄ロ ̄lll)
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