なぜ顔は青くなる？

新米キョンシーがやってきた。

いつも初々しいなと思う。


「はじめまして、先輩ッ！

　よろしくお願いしますっ！」


元気がいい。

さっきまで生きてたんだから、
ベテランキョンシー（ベテキョン）とは生気も文字通り違う。


「ふむふむ、なるほど。

　キョンシールール、勉強になります！」


ベテキョンとしてキョンシーのいろはを指導する。

と言っても、キョンシーはピョンピョンして
生きてる人間を襲う以外には覚えることなんてないのだけれど。


「はえー、あ、ちょっとトイレ行ってきます！」


生前の残りがあったのか、
まあ、新人がトイレに行くのはよくある。

最後の晩餐、ならぬ残尿・・・くくくっ。
あぁ、またオーディエンスに冷たい風を送ってしまった。

――――――――――――

新人
「せせせ、先輩・・・

　あたし、トイレで鏡見たんですけど・・・

　顔がピチピチで血色のいい肌色してました！！！」


ふふ、そう、実を言えばベテキョンのお仕事と醍醐味はここにある。


ベテキョン
「ああ、そうそう、言い忘れてたよ。

　キョンシーはね・・・」


新人
「は、はえ？」


ベテキョン
「無給で無休なんだよ？」


新人
「え・・・？」
サーーーーーーーーーッ


ベテキョン
「し・か・も」


新人
「・・・・ゴクリ」


ベテキョン
「永久に死なない！」


新人
「・・・・！！！！」
サーーーーーーーーーーーーーーッ

バタンッ


くっくっく、顔色が真っ青になっちまった。

新人の顔が青くなるのが楽しくてベテキョンはやめらんねぇぜー。



新人
「ブツブツ・・・・

　・・・・先輩もそうなんですね・・・・」ガクッ



ベテキョン
「ま、、、そうなのよねぇ・・・はぁ」