海水・再生水・再生可能エネルギーでつくる、新しい水インフラ構想

日本は四方を海に囲まれた島国です。

それにもかかわらず、水不足のニュースを毎年のように目にします。

雨が降らなければ取水制限が始まり、農業用水が不足し、農作物への影響が広がる地域もあります。

近年は気候変動によって降雨パターンが変化し、「降る場所には一度に大量に降る」「降らない場所にはほとんど降らない」という極端な状況も珍しくなくなりました。

さらに、全国のダムでは老朽化が進み、長年にわたって堆積した土砂によって、本来の貯水能力が低下している場所もあります。

つまり、日本の水インフラは今もなお、

「雨が降ること」を前提に成り立っているのです。

しかし、日本にはもう一つ、大きな水源があります。

それが海です。

海水淡水化技術は日本でも世界トップクラスといわれていますが、国内での利用はごく一部に限られています。

私は、この海をもっと積極的に活用するべきではないかと考えています。

沿岸部に海水淡水化施設を分散配置し、それを単なる水道施設ではなく、水・電力・資源を生み出す地域インフラへ発展させる構想です。

海水を高度な前処理によって浄化し、逆浸透膜(RO)で淡水化する。

その水を一度使って終わりにするのではなく、下水処理、高度浄化、再利用を繰り返しながら都市の中で循環させます。

工業用水。

農業用水。

トイレや清掃用水。

環境用水。

そして高度処理後は上水として利用することも考えられます。

つまり、水を「使い捨て」にしない社会です。

さらに、水を送る配管には圧力差が存在します。

通常は減圧して失われてしまうこのエネルギーを、小型の水力発電装置で回収できれば、水を運びながら施設全体の消費電力を減らすことができます。

これは新しいエネルギーを生み出すというより、これまで捨てていたエネルギーを有効利用する考え方です。

海水淡水化施設そのものも、大きく発想を変えられます。

施設全体をピラミッド型の太陽光発電建築で覆い、屋外には垂直軸風力発電を分散配置します。

昼間は太陽光。

風が吹けば風力。

水が流れるときは水圧回収。

複数の再生可能エネルギーを組み合わせることで、施設全体のエネルギー効率を高めることができます。

淡水化施設は電力を消費する設備ですが、再生可能エネルギーを組み合わせることで、購入電力への依存を減らし、条件によっては余剰電力を活用する可能性も広がります。

さらに、海水淡水化で発生する濃縮塩水も、単なる廃棄物ではありません。

天然塩。

マグネシウム。

カルシウム。

その他のミネラル。

これらを資源として回収できれば、新たな収益源にもなります。

つまり、この施設は、

水をつくる

電力を有効利用する

資源を回収する

という三つの役割を同時に担うことになります。

このような施設を全国の沿岸部へ分散配置すれば、一極集中ではなく地域ごとの水供給拠点をつくることができます。

災害時にもリスクを分散でき、防災面でも大きなメリットがあります。

もちろん、この構想には初期投資が必要です。

しかし、水を供給し、エネルギーを有効利用し、副産物として資源も生み出せるのであれば、長期的な視点で投資を回収できる可能性があります。

気候変動が進むこれからの時代に必要なのは、「雨が降ること」を前提としたインフラだけではありません。

海という安定した水源を活用し、水を循環させ、エネルギーも資源も無駄にしない。

そんな自己循環型インフラこそ、日本がこれから目指すべき新しい社会基盤ではないでしょうか。

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