誰も居なくなった幼稚園のお庭。
ただ自分の暗い影を見つめて。

悲しくなんかない。
寂しくなんかない。
何度も何度も胸のウチで繰り返す。
それでもぽたぽたと涙が落ちていった。


「イズミちゃんっ!ごめん…っ!遅くなった!」
とてもとても優しい声。
顔をあげると息を切らしたおとーさんがいた。

「ぜーっ…ぜーっ…。遅れてごめんね…」
肩で大きく息をしながらおとーさんは苦笑する。
「…ん。大丈夫だよ…」
私は慌てて涙を袖で拭きながら微笑む。
「あれ…?イズミちゃん…泣いてた?」
「な…泣いてないです…っ!」
反論する私の頭をおとーさんは優しく撫でる。

「よしっ!帰るかっ!」
おとーさんは私を抱き抱えると肩車する。
「ひゃっ…!」
私が驚いて小さな悲鳴をあげると、おとーさんはケラケラと明るく笑った。

いつもの帰り道。
いつもと変わらない景色。
けれど…。
いつもと違う視点から視えるそれは別世界。

「おとーさん!おとーさん!」
「なんだいイズミちゃん?」
「お空がとっても綺麗だねっ!」
「あぁ…綺麗だね。明日も晴れるかな?」

「おとーさん!おとーさん!」
おとーさんの頭をぺちぺちと叩いてはしゃぐ。
「イズミちゃんは元気だなぁ…♪」

「ねぇねぇ!おとーさん!おとーさん!お手々握って♪お手々握って♪」
「…ん?こうかい?」
私の小さな手をおとーさんのおっきな手が優しく包む。
「てへへ…♪ばんざ~い♪」
「うん…。ばんざ~い♪」
「そして…コロンビア!」
「コロンビア!?Σ(´Д`)ナンデシッテルノ!?」

「おとーさん!おとーさん!」
「今度はなぁに?」
「おとーさん大好きっ!」

寂しくなる時もあるけれど…。
大丈夫…。うん…!

私はおとーさんが大好きです♪

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