毛利元就、教えの刻

戦国の世。幾多の国々が栄枯盛衰を繰り返す中、中国地方で着実に勢力を広げつつあった毛利氏。その礎を築いたのが、智謀に長けた毛利元就であった。彼は戦の才だけでなく、人心掌握にも秀でた武将であり、老境に差し掛かった今、何よりも気にかけていたのは、自らが築いたこの毛利家をいかにして次代へとつなぐかということだった。
その日、元就は三人の息子――隆元、元春、隆景を居室に呼び寄せた。父の厳かな表情に、息子たちは背筋を正して座る。静寂の中、元就は三本の矢を手に取り、ゆっくりと語り始めた。
「一本の矢はたやすく折れる。見ていろ」
元就は一本の矢を取り出し、軽く手で折って見せた。ポキリ、と軽い音が響く。息子たちは静かに頷く。
「だが、三本の矢を束ねるとどうなるか――」
そう言いながら、元就は三本の矢を手に取り、力を込めて折ろうとする。息子たちの視線が集まる中、元就の額にはじんわりと汗が滲んでいた。
「……お前たちは、この矢のように折れず、結束するのだ！」
バキッ！！
見事に三本の矢がまとめて折れる。息子たちは思わず目を丸くし、元就自身も一瞬動揺したが、すぐに咳払いをして真剣な表情を取り戻した。
「……まあ、矢がちょっと脆かっただけだ。とにかく、お前たち三人は兄弟として互いを支え合い、力を合わせるのだ。力を合わせれば、たとえどれほど強大な敵が現れようとも、毛利は滅びぬ」
元就の言葉に、三人の息子は静かに頷いた。彼らはそれぞれ異なる資質を持っていたが、それがゆえに、三人が結束すれば無類の強さを発揮することができる。長兄・隆元は家中をまとめる統率力を持ち、次男・元春は剛勇無双の猛将として、末弟・隆景は知略に長けた名軍師として、それぞれの役割を果たすことで、毛利家は戦国の荒波を乗り越えていくのだ。
歴史に刻まれた「三本の矢」の教え。その背後には、父・元就の揺るぎない信念と、家族を守らんとする深い愛情があった。

能力名：三本の矢
自軍の連携攻撃力を大幅に強化。

能力名：瀬戸内の覇者
海戦での資源収集速度を大幅に向上。