本日のランチ

食彩探訪
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12月20日｜静かな旨味が、冬を語る

鱈と白菜の白だしあんかけ定食

文・田嶋（食彩探訪）

前日の重厚な煮込みから一転、この日は実に穏やかな一膳だった。
湯気の向こうに立ち上るのは、白だしのやさしい香り。主役は、鱈と白菜。冬を代表する素材同士が、静かに寄り添っている。

鱈は箸を入れた瞬間にほどけるほど柔らかく、身の奥から淡い甘みが広がる。臭みは一切なく、火入れの確かさがはっきりと伝わってくる。白菜は芯まで火が通り、白だし餡を含んで瑞々しい。噛むたびに、出汁の旨味がじんわりと染み出してくる。

餡はとろみを抑えた仕立てで、素材を覆い隠すことがない。あくまで主役は鱈と白菜。その輪郭をなぞるように、出汁が静かに支えている。派手さはないが、この抑制があるからこそ、最後まで飽きずに食べ進められる。

白米との相性も言うまでもない。餡を少し絡めて口に運べば、米の甘みが引き立ち、自然と箸が進む。味噌汁を挟むことで口が整い、また主菜へと戻りたくなる——定食としての完成度も高い。

強い印象を残す料理ではない。だが、寒い日に体が欲するのは、こうした“静かな旨さ”なのだろう。冬の昼に、これ以上ないほどしっくりくる一膳だった。


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次回予告

次回は、少しだけ趣向を変えて香ばしさが主役の一皿を予定。
揚げるか、焼くか——冬の台所に立つ音を追いかけます。

強く語らずとも、旨いものはちゃんと伝わる。
この定食が教えてくれたのは、そんな冬の答えだった。


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この回は

連載中盤の“呼吸を整える回”

写真も文章も「引き算の美学」が効いています


次の12/21で再び山を作ると、12月号全体がとても締まります。
次回メニュー、もう一段攻めますか？