振り向いたのは、
迷いじゃない。

部屋の灯りと、
さっきまでの私に別れを告げるため。

背中を締めるファスナー、
鏡越しの視線、
赤い唇。

静かだった夜は、
もう戻らない。

ドアの向こうに踏み出す前、
ほんの一瞬だけ、
鼓動が高鳴った。

呪文

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