本日のランチ

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『食彩探訪』12月号特集

「12月16日　湯気の向こうにある“日常のごちそう”──ポトフランチセット」
文・撮影：田嶋 達郎（グルメ記者）


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今回の取材は、いつもより少し情報量が多い。
料理そのものだけでなく、店の外観、店内の空気、厨房で鍋に向かう料理人の姿までをじっくり見せてもらった。
だからこそ、このポトフランチセットは“味”だけで語るわけにはいかない。

ロードサイドに構える大きめの洋食店は、
木を基調にした落ち着いた外観で、駐車場も広く、
「今日は少しゆっくり食べたい」という気分に自然と応えてくれる佇まいだ。
扉を開けると、天井に余裕のある店内。
席間も広く、昼の喧騒をやさしく受け止める空気が流れている。

厨房に目を向けると、大きな鍋から静かに立ち上る湯気。
料理人は慌てることなく、
具材の火の入り具合を確かめながら、
まるで時間と会話するようにポトフを仕上げていく。
この“落ち着き”が、そのまま料理の味になるのだと感じた。

運ばれてきたポトフは、
じゃがいも、ウインナーソーセージ、玉ねぎ、ブロッコリー。
どれも形を保ちながら、芯までしっかり火が入っている。
スープは澄んでいて、派手な主張はない。
だが、ひと口含むと野菜と肉の旨みが折り重なり、
身体の内側からじんわり温まっていく。

ウインナーは噛むとパリッと音を立て、
じゃがいもはほくほく、玉ねぎは甘く、
ブロッコリーは彩りだけでなく食感のアクセントとして効いている。
決して奇をてらわず、
「丁寧に作る」という一点にすべてを集約した味だ。

添えられた新鮮野菜のサラダは、
ポトフの優しさを邪魔せず、
食事全体に軽やかさを与える存在。
そして、温められたバケット。
スープを含ませれば、それだけで一品になる。
この瞬間のために、ポトフは存在しているのではないかと思わせるほどだ。

料理、空間、人。
そのすべてが同じ温度で揃ったとき、
ランチセットは“ごちそう”になる。
今日のポトフは、まさにその好例だった。


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◆次回予告

12月17日：香ばしさとコクの競演──「デミグラスハンバーグ定食」を予定。
洋食の王道が、再び登場します。

──今日も、いい湯気を浴びた。🥄❄️