陽気のせいか、春休み明けの学校はなんだか浮ついた雰囲気だ。そんな緩い空気に浸りながら登校していた俺は、校舎の陰からいきなり女の子が飛び出してきて、心臓が止まりそうになる。

「おはようございます。センパイ」

ひとつ下の学年の深瀬リナ。校内では知らない者のいない有名人だ。小さく幼い顔に、似つかわしくない大きな胸。声をかけられて喜ばない男子生徒はいない。

「え、あ、おはよう…ございます」

とはいえ俺は彼女と面識もない。急に挨拶されてドギマギしてしまう。

「あのぉ、ちょっとお願いがあるんですけど、聞いてもらえます?」

つぶらな瞳をキラキラさせて迫ってくる彼女の勢いに押されて、俺は首をこくこくと縦に振る。

「今日の放課後、グラウンド北側の体育倉庫に来てもらいたいんです」

え?なんで?体育倉庫?俺が?

「じゃあ待ってますねー。あ、来なかったら、酷いことになりますよー。私しつこいんで」

頭の中でクエスチョンマークがくるくる回る俺を置き去りにして、リナは手を振りながら行ってしまった。

え?行かないと酷いことって…どうなるの?

(R-18に続く)

呪文

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