小説『THE・UNICORN』【ニャンノ世界】

【絵物語】
『THE・UNICORN』

世界は灰色に満ちていた
むしろ、灰色じゃないことの
方が可笑しくて、色なんてものは
傾向型厄災イケコノチウ
によって、
色がなくなり、個性すらもなくなっていった。
まさにヤルダバオトの如く
統制され、現れる作品群は
イケコノチウばかり
になっていった。

ある特定の者のみが
満足し恍惚に震えてしまう
ある種の独裁的な光景に

THE・UNICORNこと綺羅星コリンは反抗せんが
ために、キャンバスに自身の願いたる世界を描くのであった。

その世界はイケコノチウ
がもたらす定型化された旋律に
不敵な笑顔を浮かべていた。

オマエモマタ、オナジキカクニシナサイ、ソウスレバラクニナレル、イケコノチウヲカンガエロ、ソシテ、ショウニンヨッキュウヲミタセバイイ

さながら、悪夢の囁きであった

だが、

灰色に包まれた世界は
確かに楽かもしれない

しかし、

綺羅星コリンは

己が持ちし、
色を壁にぶつけ描いてゆく…

世界は灰色にモノクロに
画一化されていく…

住宅も文化も言語も

さながら、はじめから

人間が、生きとしいける者
全てが単細胞じみた生物になり変わろうとしているかの如く、

其は、
ノイズじみた歪みとなっていった

その歪みの世界を晴らすために

彼女は描く

イケコノチウが展開される世界は

果たして、ヨイモノナノダロウカ？

怪物的な感情が暴走しそうになりながらも、綺羅星コリンは

それらも色として取り入れることはできないか、考える…

世界の色にとって、
唯一無二は確かに重要だ、
しかして、
自由無き、世界というものは

果たして、誠に道へと
進んでいるのだろうかと…

描きし手が疑問を投げかける…

隙間の中に其は取り入るだろうか

其の公式は確かに正解だ…

だが、何者かの存在によって

構成された色は

どこまでいっても、他者の色であって、己の色ではない…

では、どうすれば、
いいのだろうか…

虹色を求めし旅は続く

キラキラとは程遠く

夢に溢れた世界とは

程遠い

例えるなら、神話の世界にて
放浪する者らの物語である

綺羅星コリンは

山のてっぺんなどには
到達などしておらず、
むしろ、その到達点の狭間の
中で苦悩し続けていた。

その到達点に至れば

楽だろう…

しかして、

その心意気が

ある一点の事柄によって

崩壊してしまうのではないかと

時として

世界は広大でありつつ
繊細でありながらも

イノチという循環を
構成していた。

既に其はある一面で
語られる物語にて語られた事象が、別の面で、其も同時多発的に物事が展開されていくことに他ならぬものであった。

進め、そして、事象の足が
歩みを進めていく…

五十歩百歩と

足跡の連なり
物語の連鎖とは

他者によって
構成されうるものではなく

自身の紡ぎし
脳内によって
ロゴスを拡張させ、
パトスを崩壊させるほどに
悩んだ果てに

物語への道は開かれるのだろう。

綺羅星コリンは考える、
脳内にて思い浮かぶ
憧憬に虹を描きて星を紡ぐ…

幻想的でありながら、
終末的な世界にて

彩られし
文学楽章への浪漫歌

君は旅路の果てに何を見つめるだろうか