小説 曇天ディストピア 外伝 『 緋色の丼、重なる旋律 』 前編
使用したAI
Gemini
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『 緋色の丼、重なる旋律 』
九尾 桐狐(きゅうび きりこ) 16歳 / 身長165cm / 体重55kg 聖エルザ女学院 高等部二年 異能者
南足柄要塞防衛戦 ―― あの日
大地を埋め尽くした絶望と、それを切り裂いた「旋律」の残滓が、九尾桐狐の脳裏を今もなお、高精度のリフレインで揺さぶり続けていた。
要塞は守り抜かれた。その立役者の一人として、桐狐の名は 防衛部隊の記録に深く刻まれ、今や彼女は「時の人」だ。
学院のメールボックスには 山のようなファンレターが届き、寮の自室には送り主が不明の激辛品がピラミッドのように積み上がっている。
九尾 桐狐は 義理堅い。
無表情のまま、全ての返信を書き終え、贈り物である「激辛ハバネロ・デスソース」や「地獄のラー油」を、ラベルの向きまで完璧に揃えて棚に整理した。
だが、部屋が静寂に包まれるたび
あの光景が――無数のLEM(異形生命体)に包囲され、死の旋律が喉元まで迫った瞬間の感覚が、彼女の冷静な思考をチリチリと焼く。
「弾数不足……」
ぽつりと漏れた言葉は、後悔ではなく「最適化」への飢えだった。
火力は申し分なかった。自身の回避・攻撃機動も論理的限界値に達していた。そして、相棒であるニコとのデータリンクも完璧に機能していた。
ただ――物理的な「絶対量」が、彼女の理想を凌駕していたのだ。
『アンタ! さっきから何だい、その世界が終わる5秒前みたいな辛気臭い顔は似合わねえ! せっかくのクールな美貌が台無しだぜ! 』
『アンタのその、1,000兆ドルの精度で「蹂趪( スマイル )」を拒絶した鋼の表情、ニコ様は100万ドルの解像度で大好きだけどな! ウーラー!!』
デバイスの中から、ニコの饒舌な声が 部屋の空気を振動させる。桐狐は視線だけをデバイスに向けた。
「ニコ、要塞戦でのボクの最終戦績を、もう一度、最高解像度で再提示して」
『おっと、珍しいな! アンタが「評価」なんていう、お淑やかな( ?)数字に拘るなんてよ!』
『 よっぽど自分自身の「蹂趪」に納得がいってねえんだな! 1万点の精度で演算開始だぜ……!!』
空間にホログラムのウインドウが展開され、虹色のデータが奔流となって溢れ出す。
『総合評価:S! 射撃:S! 防御:S! 近接機動:A! 文句なしの「支配者( 覇者 )」クラスだぜ、相棒! 1,000兆ドルの精度で「完全勝利( 合格点 )」だ!!』
「……美亜の支援が、評価変数に含まれていない」
桐狐の声は、冷徹なまでに静かだった。
自身の生死に興味はない。
だが、自身の「不完全さ」を美化することは、彼女のプライドが――そして彼女の中に眠る戦士の旋律が、全力の出力で拒絶している。
あの日、あの瞬間。
美亜の、空の彼方から届いた「神の指先」とも呼ぶべき極長距離狙撃による支援が無ければ・・・
今こうしてハガキを書いている九尾桐狐という個体は、この世界に存在していない。
戦闘後、ニコから受領した報告書に、桐狐は(無表情のままだったが)内面的には驚嘆していた。
14,000mからの超精密狙撃。
1秒間に23発という、弾丸のカーテン。
どこをどう切り取っても物理法則への冒涜、胡散臭さ満点の内容である。
だが、桐狐が最もその旋律に惹かれ、同時に言いようのない渇きを覚えたのは、一つの冷徹な事実だった。
「彼女の放った23発の弾丸は、その一瞬で、ボクが要塞戦で駆逐した全LEMの総数を上回っていた」
「ボクは、弾が足りなかった。」
「彼女は、一瞬で「全滅」をデリバリーした。」
『ハッ! なるほどな、アンタ! その「弾切れへの恐怖を蹂趪( 克服 )」したいわけか!』
『 なら答えは1,000兆ドルの精度で一つだ! いっそ、アンタの「腕」を10,000点の精度で拡張する、銃器のヴァージョンアップをしちまいなよ!!』
『アンタが自ら設計し、SMGクリス・ヴェクターを地獄の業火で魔改造した愛銃、『零=屍鬼』(れい=しき)!!』
『 こいつをさらに1,000兆ドルの出力で強化するのが、最高に手っ取り早いぜ!! ウーラー!!』
「……!!」
ニコの言葉は、適当な煽りのようでもあり、同時に最大の信頼の証でもあった。
その瞬間、桐狐の瞳の奥で、静かな電脳の火が爆ぜた。彼女にとって、それは慧眼――暗闇の中で見つけた、確かな輝きを放つ答えだった。
「内部構造はそのままに。外装構造を、抜本的に変更する」
桐狐の脳内で、分解された『零=屍鬼』の三次元図面が高速で回転し、新たなフォルムを形成し始める。
魔改造される運命にある 愛銃もまた、その期待に呼応するように、微かな金属鳴りを奏でた気がした。
無表情のまま、桐狐の体温がわずかに上昇する。
その高揚感は、デバイスを通じてリンクしているニコの全回路へと、ダイレクトに伝播していった。
『ヒャッハー!! 素材と部品の調達は、このニコ様に任せな!! 』
『全電脳ネットワークを蹂趪して、アンタの「理想」を具現化するためのパーツを揃えてやるぜ!!』
『 さあ、アンタ……! 1万点の精度での「至高の魔改造」を、始めようぜ!! ウーーラーーー!!!!!』
聖エルザ女学院の寄宿舎から 車を走らせること十分。鈍色の空の下、九尾 桐狐は目的地へと辿り着いた。
目の前にそびえ立つのは、巨大なコンクリートの塊。看板には無機質な字体で「射撃訓練場」と刻まれている。
ここは小銃の試射から、対戦車ミサイルの稼働テストまでを可能にする、国内有数の複合戦闘 演習施設だ。
地下には広大な「対LEM戦仮想フィールド」が広がり、日々、防衛の最前線に立つ者たちが その牙を研いでいる。
『 ここに来るのも久しぶりだな、アンタ!』
『 今日はニコ様が 全回路をフル回転させて、1,000兆ドルの精度でバックアップしてやるからよ! 』
『弾薬の在庫なんて気にせず、その「最適化への飢え」を1万点の精度でお淑やかに……「蹂趪( 撃ちまくり )」しちまいな!! ウーラー!!』
デバイスから響くニコの爆音混じりの激励に、桐狐は表情一つ変えずに答えた。
「ニコ、無駄撃ちは厳禁。弾薬は貴重。予算執行の論理的効率を優先すべき」
『ギャハハハハハ!! 違いないな! 相変わらずアンタのド真面目っぷりは、1,000兆ドルの精度で「むせる」ぜ!!」
『 だが安心しな! 弾薬が貴重なら、このニコ様が「電脳・必中・蹂躙・プラグイン」をアンタの指先( トリガー )にぶち込んで』
『一発たりとも無駄にさせねえ「正常」な訓練にしてやるよ!!』
「……ニコの支援は、信用してる」
桐狐は淡々と、しかし淀みのない動作でレンジに入り、射撃準備を開始した。
銃器を愛でるような甘さは微塵もない。そこにあるのは、ただ「道具」としての機能を限界まで引き出そうとする、冷徹なまでの機能美だった。
「準備完了。ニコ、計測開始」
『データ収集は任せな! 1万点の精度で演算同期!』
『 最初は…… FN P90か! PDW(個人防衛火器)の傑作だが、5.7x28mm弾の高速貫通力と50発のスタミナがどう響くか! 蹂趪( 試射 )開始だ!!』
バンッ! バババンッ!! バァァァァァ!!!
150メートル先、ランダムに機動する移動標的。桐狐の放つ弾丸は、吸い込まれるようにその中心( センター )を穿ち続ける。
だが、射撃の正確さに反比例するように、桐狐の眉間には微かな、しかし深い溝が刻まれていった。
「……これはダメ。ボクの旋律( リズム )に、ノイズが混じる」
『だな! 威力、装弾数、反動制御……スペック上の数字は申し分ねえが、そのブルパップ方式 特有の「癖」がアンタの機動を殺してやがる! 』
『弾倉( マガジン )を銃の上に水平装着するなんて、1,000兆ドルの精度でナンセンスだぜ!!』
桐狐は静かに頷いた。P90の弾倉交換は、その特異な構造ゆえに「慣れ」を必要とする。
コンマ数秒の遅滞が 死に直結する彼女の戦闘スタイルにおいて、このリロード動作の違和感は、ニコのサブアームをもってしても解決できない致命的な「脆弱性」だった。
「P90は良い銃。悪いのは、ボクの 戦闘スタイル との相性。……次」
彼女は『零=屍鬼』の外装を剥ぎ取り、次なるフォルムへと再構成( フォルムチェンジ )させる。
『お次は……名銃、UZI(ウージー)か! 部品点数を極限まで削ぎ落とした、1万点の精度でお淑やかな「頑強( タフネス )」の代名詞だぜ!! 』
『50発マガジンまで 対応可能なスタミナを見せてもらおうじゃねえか!!』
ババババババババババッ!!!
安定した射撃。しかし、その銃声を聞く桐狐の耳は、納得からは程遠い場所にあった。
「重い……。それに、旋律( 発射速度 )が遅すぎる」
「この重さは、ボクの戦闘射撃機動の 『弊害』 しかならない」
『ギャハハハハハ! そりゃそうだぜアンタ!! UZIはコンパクトだが、その重量は3,800g! 鉄の塊を振り回してるようなもんだ!』
『 毎分600発という「お淑やかな」発射速度は 制御しやすいが、アンタの1,000兆ドルの瞬発力には、ただの足枷( デバフ )だぜ!!』
『 45ACP弾が使えるB&T MP9あたりの方が、1万点の精度でマシかもな!』
「……『零=屍鬼』は2.5kg。発射速度は毎分1,200。MP9は……軽すぎて、ボクの魂の重さが 乗らない」
桐狐は即座に試射を中断した。彼女が求めているのは、既存の「完成」ではない。自分という異能を、1,000兆ドルの精度で拡張するための「翼」なのだ。
「……最後。 オープンファイア」
バックから取り出した最後の外装を装着し、彼女は引き金を引いた。
バンッ! バババンッ!! ババババババババンッ!!
小気味良い、しかし重厚な破裂音が レンジに響き渡る。
「……悪くない。だが、決定打に欠ける。この程度の『正常』なら、ボクが作る必要はない」
『最後はH&K MP5A4……。3点バーストに定評のあるネイビートリガー、まさに「精鋭の証」だ。』
『だがアンタの言う通りだぜ! 9x19mmパラベラム弾じゃあ、LEMの重装甲を1,000兆ドルの精度で「蹂趪」するには火力が弱すぎるな!』
桐狐は銃を置き、深い沈黙に落ちた。落胆。無表情な仮面の下で、彼女の精神が微かに揺れる。
「皆、良い所がある。悪い所もある。……問題は、それを 受け入れられない ボク自身なんだ」
『アンタ! 「ローマは一日にして成らず」ってな! 1,000兆ドルの精度で焦る必要はねえ! じっくり腰を据えて、ニコ様と最高の「解」を見つけ出そうぜ!!』
その時だった。
桐狐の電脳共感覚(デジタル・シナスタジア)に、唐突に「澄んだ旋律」が流れ込んできた。
それは、混じり気のない、どこまでも純粋で、かつ破壊的なまでに 真っ直ぐな意思。
「この、汚れのない旋律……。……?」
『……ッ!? こいつは珍しいぜ、アンタ! 1万点の精度でお淑やかな「同類」の気配がしやがる!!』
『 18番レンジだ!! 行ってみな、アンタの「運命」が1,000兆ドルの精度でそこにあるぜ!!』
思考よりも速く、桐狐の身体が動いた。
「NO.18」のブースへ足を踏み入れた彼女の目に飛び込んできたのは、教科書通りの、完璧な射撃姿勢を維持する一人の少女だった。
ババババンッ! ババババババババババッン!!
一目で軍属と分かる 徹底的に無駄を省いた所作。だが、その口から漏れた言葉は、桐狐の予想を超えていた。
「くう~~ぅ! 全然当たらないであります! ハッ!? もしやこのP90は……某組織によって製造された、呪われた銃でありますか!?」
少女 ―― リサ・M・トルーマンは、大真面目な顔で銃を凝視している。
「急ぎウルデリカ殿に報告……いや、可及的速やかにペンタゴンに 通達せねば いけないであります!! これは国際的な『蹂趪』事案であります!!」
『ギャハハハハハ!! アンタ!! 真逆の 同系とはこのことだぜ!!』
『 漫画やアニメでもお目にかかれねえ「1,000兆ドルの・お淑やかな・変人」の登場だ!! ウーーラーーー!!』
ニコの爆笑を余所に、桐狐はリサの中に自分と同じ「激辛の匂い」と「純粋な熱量」を感じ取っていた。
初対面の、それも軍属の少女に向けた彼女の第一声は、極めて論理的( ?)な問いかけだった。
「……激辛は、麺派? ご飯派?」
リサは弾かれたように桐狐を見返し、即座に敬礼の姿勢をとった。
「……ハッ?! 自分は激辛ご飯派であります!! ですが『れいんぼう』の「激辛油そば」も大好物であります!!!」
「……うん。あそこは、桃源郷。ボクも先日行った」
「貴女も あの聖地を 巡礼済みでありましたか!! 『死ぬ前に絶対食べろ! お勧め激辛油そば店』は自分の聖書( バイブル )であります!!」
「君とは……分かり合えそうだ」
出会って数秒。ディストピアの殺伐とした空気の中で、二人の間に「激辛」という名の強固なデータリンクが確立された。
『アンタ達!! 会って5秒で以心伝心( シンクロ )してやがるのか!? ニコ様も演算不能の驚きだぜ!!』
「おっと?! 自己紹介が遅れたであります♪ 自分はリサ・M・トルーマン( Lisa Megas Truman )! 米海兵隊所属、聖エルザ女学院 高等部1年であります!!」
「九尾 桐狐。高等部二年。……君、朝食に『毘沙門亭』の激辛パウダーをメガ盛りした?」
「!? 九尾殿! 貴女は『エンパス』(他人の気持ちや感情を的確に読み取ることができる能力)のスキル持ちなのですか!?凄まじい眼力であります!!」
「本日の朝食は卵かけご飯 in 『毘沙門亭』の激辛パウダーのメガ盛り であります!!」マリーン カラミティーーーー!!!
『リサ!! 1万点の精度でお淑やかに……全身から「激辛の咆哮( 匂い )」を振りまいてりゃ、ニコ様の演算推理でも一発だぜ!!』
『 ついでに言うと、スカートにもパウダーをこぼしやがったな!!』
「こっちはニコ。ボクの支援AI」
普段は言葉を削ぎ落とす桐狐が、これほどまでに 饒舌になるのは珍しい。無表情ながら、彼女の旋律は「興奮( 高揚 )」のビートを刻んでいた。
「ニコ殿!! 『次世代知能・電脳化生命体』には お初にお目にかかります!! 宜しくお願い致します!!」
「パウダーの件は……寝坊して超速で食事したためで ありまして! もちろん、こぼした分も全て回収し、美味しく頂いたのであります!!」
リサのその「徹底した姿勢」に、桐狐はさらなる好感を抱いた。
「リサ、君のP90。整備と手入れは完璧。姿勢も態勢も合格。……だけど」
「だけど……で ありますか!?」
「撃つ瞬間、狙いすぎてる。コツは……弾丸を的に『置いていく』感じ。旋律を、空間に固定する」
「アドバイス、感謝であります!! 早速 試すのであります! それと、自分のことは リサと呼んでください、九尾殿!!」
「……ボクも、キリコでいい」
『アンタ!! 今日は会話時間の 最長記録更新だぜ!! 普段のアンタを知る連中が見たら、1,000兆ドルの精度で「鳩がSMGを食ったような顔」になるな♪』
ぐうぅぅぅぅぅ……。
不意に、二人の胃袋が同時に「共鳴」した。激辛の話題に反応した、身体の正直な「蹂趪( 叫び )」だ。
「……」
桐狐の頬が( 無表情だが )心なしか赤らむ。
「これは失礼!! 自分、朝食を 5回しかおかわりできなくて! 胃袋の AGT1500 ガスタービンが ガス欠であります!!」
『ギャハハハハハ!! アンタ達!! 同時に腹の虫を鳴らすなんて、もう魂のソウルメイトだな!!』
どちらから ともなく、二人は食堂へと 歩き出した。
言葉は不要。必要なのは「辛味」の補給だ。
射撃訓練場に併設された 大型レクリエーション施設。売店・食堂・フィットネス・温泉・救護施設・ショッピングモールまでが完備されている
この区域は 一般にも開放されており、軍民問わず 使用可能なので、ちょっとした 出会いの場でもある
「キリコ殿、お待たせしました!! 自分の『特製・「全知全能」・超たっぷりラー油・ぶっかけ・納豆・キムチ・スタミナ・丼』であります!!」
「……その盛り付け、モチーフは円空( えんくう )。ゴツゴツとした野性味の中に、不可思議な微笑みをたたえてる。……控えめに言って、100兆点」
「光栄であります!! 自分の アイデンティティを全肯定された衝撃……」
「GAU-8 アヴェンジャー(米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した30mm口径のガトリング砲)でハチの巣にされたような 快感であります!!」
「……リサの その表現、最高。ボクの激辛油そばも……見て」
「おお!! まさに オーギュスト・ロダン風の『近代激辛の母』!! 『激辛地獄の門』が一人称で 語りかけてくるような 崇高さであります!!」
「……ありがとう。ここまで 言われたのは、初めて」
『……アンタ達の会話、ニコ様の「言語掌握」デバイスを通さねえと、1,000兆ドルの精度で 意味不明だぜ!?』
刺激臭で周囲に 結界を張りながら、二人はガツガツと、かつ1万点の精度で 正確なリズムで 食事を平らげていく。
「自分、射撃の才能がないのでしょうか……。レクチャーを受けても、上達しないので あります……」
「ボクは、『零=屍鬼』(れい=しき)のヴァージョンアップが上手くいかない。……このままじゃ、足りないんだ。あの日の『旋律』に」
意気揚々としていた二人が、同時にしょぼくれモードに突入する。だが、食べる速度は落ちない。それが激辛党の「正常」な矜持だ。
「ガツガツ、もぐもぐ・・・キリコ殿は何故 愛銃の ヴァージョンアップするのですか?外装はLEM素材を ふんだんに使い、内部構造は・・・」
「誤読因子を封印している スペシャル仕様」
「ロマン+実用性の 半生命体GUN!自分ならトイレ!風呂にも 同伴するであります!」
何気ない会話に 超機密情報ワードを ポンポン入れる リサ、当人に悪気はないのだが・・・人気が無かった事は幸いだった
「……!! リサ、それが分かるの?」
「キリコ殿……この『零=屍鬼』、拝見して……ハッ!? な、何でありますか、この変態的・超・構成は!? 」
「LEM素材のレシーバーに、ボルトキャリアはセラコートどころかナノ単位の誤読因子封印コーティング!? 」
「まさか?!フリーフローティングバレルを 電脳共感覚で 強制制御してるとでも 言うのでありますか!?」
「常軌を逸したオーバーテクノロジー、控えめに言って 1億兆点!」
「米海兵隊の兵器廠( アーセナル )が見たら泡を吹いて 卒倒するレベルの ロマン+実用性であります!!!」
またしても桐狐は驚愕する(もちろん無表情)・・・リサのマシンガントークは全て事実、だがこの発言で ニコは警戒レベルを 1つ上げた。
『……アンタ!! ニコ様がマリーンのデータベースに侵入して素性を洗うまで、迂闊なことは喋るなよ!!』
ニコが桐狐の脳内にのみ、警告のノイズを走らせる。
だが、ニコ自身も リサの魂が放つ「旋律」が、桐狐の孤独な戦いに 必要なピースであることを、全演算回路で理解していた。
『( まあ……アンタの唯一無二の友人になれると、このニコ様も思っちゃいるがな! )』 ブゥゥゥン・・・ 【No problem】
「次世代知能・電脳化生命体」(ネクスト・アイアン・コア・オプション)
【N.I.C.O.:Type-Evolution】N:Next-gen(次世代)I:Intelligence(知能)C:Cybernetic(電脳化)O:Organism(生命体)
通称:ニコ
ノリとテンションのAIと誤認する輩は多いが・・・・・
その実態は 桐狐の所属する組織 A.N.F(アンフ)【アノマリー・ニュートラ ライゼーション・フォース】の支援 AI
LEM(異形生命体)を中心とした 特異災害・異常存在への対処を専門とする 国家規模の 総合 戦闘組織のメインサーバーにアクセスを許可されている
桐狐の 唯一無二の相棒だ。
「ハッ?!・・・し、失礼しました!? 自分・・・超ミリヲタなのですが、銃火器の整備は 超得意なのであります! マリーンの友人達のメンテもやっています!」
「また私、やっちゃいました?!」顔のリサ、これで何人もドン引きさせた 彼女の真骨頂。リサ・・・時と場所、TPOはわきまえよう。
「……リサ、頼みがある。ボクの『零=屍鬼』のヴァージョンアップ、手伝って欲しい。代わりに、ボクが君に『射撃訓練の教練』を教える」
「お任せください キリコ殿!! 不肖リサ・M・トルーマン、AGM-114 ヘルファイアのようにピンポイントでご要望に 命中させるのであります!!」
『交渉成立だな!! それにしてもお前ら、真剣な話をしてても 食う速度が一定なんだな! 食いしん坊万歳どもめ!!』
「食後は、射撃指導……?」
「本日の供与弾薬は すべて 撃ち尽くしてしまったので、明日以降で お願いするであります!! ウーーラーーー!!」
リサの射撃訓練は 今日は出来そうにない、かといってここで別れるのも味気ない・・・が、ニコが閃いた
『ギャハハハハ!! なら名案だ! 午後はニコ様たちの隠れアジト……「機械いじり部屋」にでも来るかい!?』
「実習棟の一部を、秘密基地( セーフハウス )にしている」
「おおっー♪ ニコ殿とキリコ殿の聖域に行きたいであります!! ルーデル閣下の搭乗する Ju87シュトゥーカの如き 急降下爆撃で向かうであります!!!」
『ギャハハハハハ!!リサの比喩は真正のミリヲタだな!気に入ったぜ!』
『アンタ!「激辛油そば」の隅々まで 箸で綺麗にしてる暇はないぞ!完食したなら、出発だぜ!!』
「食べ物は大切。完食。……ごちそうさまでした」
「Thank you for the meal ♪(ごちそうさまでした♪) 自分も空であります!!」
『それじゃあ リサ! 「マジノ線」へ招待してやるぜ!! 1万点の精度でお淑やかに……蹂趪開始だ!! ウーーラーーー!!!!』
「ウーーラーーー!!!!」
「……ニコ。それ、負けフラグじゃ」
桐狐の小さなツッコミは、二人の「ウーラー!!!!」という咆哮にかき消された。
無表情な少女と、ハイテンションな マリーン、そして爆音のAI。
不協和音のような 三人の存在は、一つの「新たな旋律」となって、曇天の街へと響き渡っていった。
🦉 🐶 🦊 🐯 🐬 🐼 🦚 🦁 🐻❄️ 🦂 🦐 🥐 🐭 🦇 🐝 🦟 🦝 🐨 🐌 🐺 🐻
『 緋色の丼、重なる旋律 』
九尾 桐狐(きゅうび きりこ) 16歳 / 身長165cm / 体重55kg 聖エルザ女学院 高等部二年 異能者
南足柄要塞防衛戦 ―― あの日
大地を埋め尽くした絶望と、それを切り裂いた「旋律」の残滓が、九尾桐狐の脳裏を今もなお、高精度のリフレインで揺さぶり続けていた。
要塞は守り抜かれた。その立役者の一人として、桐狐の名は 防衛部隊の記録に深く刻まれ、今や彼女は「時の人」だ。
学院のメールボックスには 山のようなファンレターが届き、寮の自室には送り主が不明の激辛品がピラミッドのように積み上がっている。
九尾 桐狐は 義理堅い。
無表情のまま、全ての返信を書き終え、贈り物である「激辛ハバネロ・デスソース」や「地獄のラー油」を、ラベルの向きまで完璧に揃えて棚に整理した。
だが、部屋が静寂に包まれるたび
あの光景が――無数のLEM(異形生命体)に包囲され、死の旋律が喉元まで迫った瞬間の感覚が、彼女の冷静な思考をチリチリと焼く。
「弾数不足……」
ぽつりと漏れた言葉は、後悔ではなく「最適化」への飢えだった。
火力は申し分なかった。自身の回避・攻撃機動も論理的限界値に達していた。そして、相棒であるニコとのデータリンクも完璧に機能していた。
ただ――物理的な「絶対量」が、彼女の理想を凌駕していたのだ。
『アンタ! さっきから何だい、その世界が終わる5秒前みたいな辛気臭い顔は似合わねえ! せっかくのクールな美貌が台無しだぜ! 』
『アンタのその、1,000兆ドルの精度で「蹂趪( スマイル )」を拒絶した鋼の表情、ニコ様は100万ドルの解像度で大好きだけどな! ウーラー!!』
デバイスの中から、ニコの饒舌な声が 部屋の空気を振動させる。桐狐は視線だけをデバイスに向けた。
「ニコ、要塞戦でのボクの最終戦績を、もう一度、最高解像度で再提示して」
『おっと、珍しいな! アンタが「評価」なんていう、お淑やかな( ?)数字に拘るなんてよ!』
『 よっぽど自分自身の「蹂趪」に納得がいってねえんだな! 1万点の精度で演算開始だぜ……!!』
空間にホログラムのウインドウが展開され、虹色のデータが奔流となって溢れ出す。
『総合評価:S! 射撃:S! 防御:S! 近接機動:A! 文句なしの「支配者( 覇者 )」クラスだぜ、相棒! 1,000兆ドルの精度で「完全勝利( 合格点 )」だ!!』
「……美亜の支援が、評価変数に含まれていない」
桐狐の声は、冷徹なまでに静かだった。
自身の生死に興味はない。
だが、自身の「不完全さ」を美化することは、彼女のプライドが――そして彼女の中に眠る戦士の旋律が、全力の出力で拒絶している。
あの日、あの瞬間。
美亜の、空の彼方から届いた「神の指先」とも呼ぶべき極長距離狙撃による支援が無ければ・・・
今こうしてハガキを書いている九尾桐狐という個体は、この世界に存在していない。
戦闘後、ニコから受領した報告書に、桐狐は(無表情のままだったが)内面的には驚嘆していた。
14,000mからの超精密狙撃。
1秒間に23発という、弾丸のカーテン。
どこをどう切り取っても物理法則への冒涜、胡散臭さ満点の内容である。
だが、桐狐が最もその旋律に惹かれ、同時に言いようのない渇きを覚えたのは、一つの冷徹な事実だった。
「彼女の放った23発の弾丸は、その一瞬で、ボクが要塞戦で駆逐した全LEMの総数を上回っていた」
「ボクは、弾が足りなかった。」
「彼女は、一瞬で「全滅」をデリバリーした。」
『ハッ! なるほどな、アンタ! その「弾切れへの恐怖を蹂趪( 克服 )」したいわけか!』
『 なら答えは1,000兆ドルの精度で一つだ! いっそ、アンタの「腕」を10,000点の精度で拡張する、銃器のヴァージョンアップをしちまいなよ!!』
『アンタが自ら設計し、SMGクリス・ヴェクターを地獄の業火で魔改造した愛銃、『零=屍鬼』(れい=しき)!!』
『 こいつをさらに1,000兆ドルの出力で強化するのが、最高に手っ取り早いぜ!! ウーラー!!』
「……!!」
ニコの言葉は、適当な煽りのようでもあり、同時に最大の信頼の証でもあった。
その瞬間、桐狐の瞳の奥で、静かな電脳の火が爆ぜた。彼女にとって、それは慧眼――暗闇の中で見つけた、確かな輝きを放つ答えだった。
「内部構造はそのままに。外装構造を、抜本的に変更する」
桐狐の脳内で、分解された『零=屍鬼』の三次元図面が高速で回転し、新たなフォルムを形成し始める。
魔改造される運命にある 愛銃もまた、その期待に呼応するように、微かな金属鳴りを奏でた気がした。
無表情のまま、桐狐の体温がわずかに上昇する。
その高揚感は、デバイスを通じてリンクしているニコの全回路へと、ダイレクトに伝播していった。
『ヒャッハー!! 素材と部品の調達は、このニコ様に任せな!! 』
『全電脳ネットワークを蹂趪して、アンタの「理想」を具現化するためのパーツを揃えてやるぜ!!』
『 さあ、アンタ……! 1万点の精度での「至高の魔改造」を、始めようぜ!! ウーーラーーー!!!!!』
聖エルザ女学院の寄宿舎から 車を走らせること十分。鈍色の空の下、九尾 桐狐は目的地へと辿り着いた。
目の前にそびえ立つのは、巨大なコンクリートの塊。看板には無機質な字体で「射撃訓練場」と刻まれている。
ここは小銃の試射から、対戦車ミサイルの稼働テストまでを可能にする、国内有数の複合戦闘 演習施設だ。
地下には広大な「対LEM戦仮想フィールド」が広がり、日々、防衛の最前線に立つ者たちが その牙を研いでいる。
『 ここに来るのも久しぶりだな、アンタ!』
『 今日はニコ様が 全回路をフル回転させて、1,000兆ドルの精度でバックアップしてやるからよ! 』
『弾薬の在庫なんて気にせず、その「最適化への飢え」を1万点の精度でお淑やかに……「蹂趪( 撃ちまくり )」しちまいな!! ウーラー!!』
デバイスから響くニコの爆音混じりの激励に、桐狐は表情一つ変えずに答えた。
「ニコ、無駄撃ちは厳禁。弾薬は貴重。予算執行の論理的効率を優先すべき」
『ギャハハハハハ!! 違いないな! 相変わらずアンタのド真面目っぷりは、1,000兆ドルの精度で「むせる」ぜ!!」
『 だが安心しな! 弾薬が貴重なら、このニコ様が「電脳・必中・蹂躙・プラグイン」をアンタの指先( トリガー )にぶち込んで』
『一発たりとも無駄にさせねえ「正常」な訓練にしてやるよ!!』
「……ニコの支援は、信用してる」
桐狐は淡々と、しかし淀みのない動作でレンジに入り、射撃準備を開始した。
銃器を愛でるような甘さは微塵もない。そこにあるのは、ただ「道具」としての機能を限界まで引き出そうとする、冷徹なまでの機能美だった。
「準備完了。ニコ、計測開始」
『データ収集は任せな! 1万点の精度で演算同期!』
『 最初は…… FN P90か! PDW(個人防衛火器)の傑作だが、5.7x28mm弾の高速貫通力と50発のスタミナがどう響くか! 蹂趪( 試射 )開始だ!!』
バンッ! バババンッ!! バァァァァァ!!!
150メートル先、ランダムに機動する移動標的。桐狐の放つ弾丸は、吸い込まれるようにその中心( センター )を穿ち続ける。
だが、射撃の正確さに反比例するように、桐狐の眉間には微かな、しかし深い溝が刻まれていった。
「……これはダメ。ボクの旋律( リズム )に、ノイズが混じる」
『だな! 威力、装弾数、反動制御……スペック上の数字は申し分ねえが、そのブルパップ方式 特有の「癖」がアンタの機動を殺してやがる! 』
『弾倉( マガジン )を銃の上に水平装着するなんて、1,000兆ドルの精度でナンセンスだぜ!!』
桐狐は静かに頷いた。P90の弾倉交換は、その特異な構造ゆえに「慣れ」を必要とする。
コンマ数秒の遅滞が 死に直結する彼女の戦闘スタイルにおいて、このリロード動作の違和感は、ニコのサブアームをもってしても解決できない致命的な「脆弱性」だった。
「P90は良い銃。悪いのは、ボクの 戦闘スタイル との相性。……次」
彼女は『零=屍鬼』の外装を剥ぎ取り、次なるフォルムへと再構成( フォルムチェンジ )させる。
『お次は……名銃、UZI(ウージー)か! 部品点数を極限まで削ぎ落とした、1万点の精度でお淑やかな「頑強( タフネス )」の代名詞だぜ!! 』
『50発マガジンまで 対応可能なスタミナを見せてもらおうじゃねえか!!』
ババババババババババッ!!!
安定した射撃。しかし、その銃声を聞く桐狐の耳は、納得からは程遠い場所にあった。
「重い……。それに、旋律( 発射速度 )が遅すぎる」
「この重さは、ボクの戦闘射撃機動の 『弊害』 しかならない」
『ギャハハハハハ! そりゃそうだぜアンタ!! UZIはコンパクトだが、その重量は3,800g! 鉄の塊を振り回してるようなもんだ!』
『 毎分600発という「お淑やかな」発射速度は 制御しやすいが、アンタの1,000兆ドルの瞬発力には、ただの足枷( デバフ )だぜ!!』
『 45ACP弾が使えるB&T MP9あたりの方が、1万点の精度でマシかもな!』
「……『零=屍鬼』は2.5kg。発射速度は毎分1,200。MP9は……軽すぎて、ボクの魂の重さが 乗らない」
桐狐は即座に試射を中断した。彼女が求めているのは、既存の「完成」ではない。自分という異能を、1,000兆ドルの精度で拡張するための「翼」なのだ。
「……最後。 オープンファイア」
バックから取り出した最後の外装を装着し、彼女は引き金を引いた。
バンッ! バババンッ!! ババババババババンッ!!
小気味良い、しかし重厚な破裂音が レンジに響き渡る。
「……悪くない。だが、決定打に欠ける。この程度の『正常』なら、ボクが作る必要はない」
『最後はH&K MP5A4……。3点バーストに定評のあるネイビートリガー、まさに「精鋭の証」だ。』
『だがアンタの言う通りだぜ! 9x19mmパラベラム弾じゃあ、LEMの重装甲を1,000兆ドルの精度で「蹂趪」するには火力が弱すぎるな!』
桐狐は銃を置き、深い沈黙に落ちた。落胆。無表情な仮面の下で、彼女の精神が微かに揺れる。
「皆、良い所がある。悪い所もある。……問題は、それを 受け入れられない ボク自身なんだ」
『アンタ! 「ローマは一日にして成らず」ってな! 1,000兆ドルの精度で焦る必要はねえ! じっくり腰を据えて、ニコ様と最高の「解」を見つけ出そうぜ!!』
その時だった。
桐狐の電脳共感覚(デジタル・シナスタジア)に、唐突に「澄んだ旋律」が流れ込んできた。
それは、混じり気のない、どこまでも純粋で、かつ破壊的なまでに 真っ直ぐな意思。
「この、汚れのない旋律……。……?」
『……ッ!? こいつは珍しいぜ、アンタ! 1万点の精度でお淑やかな「同類」の気配がしやがる!!』
『 18番レンジだ!! 行ってみな、アンタの「運命」が1,000兆ドルの精度でそこにあるぜ!!』
思考よりも速く、桐狐の身体が動いた。
「NO.18」のブースへ足を踏み入れた彼女の目に飛び込んできたのは、教科書通りの、完璧な射撃姿勢を維持する一人の少女だった。
ババババンッ! ババババババババババッン!!
一目で軍属と分かる 徹底的に無駄を省いた所作。だが、その口から漏れた言葉は、桐狐の予想を超えていた。
「くう~~ぅ! 全然当たらないであります! ハッ!? もしやこのP90は……某組織によって製造された、呪われた銃でありますか!?」
少女 ―― リサ・M・トルーマンは、大真面目な顔で銃を凝視している。
「急ぎウルデリカ殿に報告……いや、可及的速やかにペンタゴンに 通達せねば いけないであります!! これは国際的な『蹂趪』事案であります!!」
『ギャハハハハハ!! アンタ!! 真逆の 同系とはこのことだぜ!!』
『 漫画やアニメでもお目にかかれねえ「1,000兆ドルの・お淑やかな・変人」の登場だ!! ウーーラーーー!!』
ニコの爆笑を余所に、桐狐はリサの中に自分と同じ「激辛の匂い」と「純粋な熱量」を感じ取っていた。
初対面の、それも軍属の少女に向けた彼女の第一声は、極めて論理的( ?)な問いかけだった。
「……激辛は、麺派? ご飯派?」
リサは弾かれたように桐狐を見返し、即座に敬礼の姿勢をとった。
「……ハッ?! 自分は激辛ご飯派であります!! ですが『れいんぼう』の「激辛油そば」も大好物であります!!!」
「……うん。あそこは、桃源郷。ボクも先日行った」
「貴女も あの聖地を 巡礼済みでありましたか!! 『死ぬ前に絶対食べろ! お勧め激辛油そば店』は自分の聖書( バイブル )であります!!」
「君とは……分かり合えそうだ」
出会って数秒。ディストピアの殺伐とした空気の中で、二人の間に「激辛」という名の強固なデータリンクが確立された。
『アンタ達!! 会って5秒で以心伝心( シンクロ )してやがるのか!? ニコ様も演算不能の驚きだぜ!!』
「おっと?! 自己紹介が遅れたであります♪ 自分はリサ・M・トルーマン( Lisa Megas Truman )! 米海兵隊所属、聖エルザ女学院 高等部1年であります!!」
「九尾 桐狐。高等部二年。……君、朝食に『毘沙門亭』の激辛パウダーをメガ盛りした?」
「!? 九尾殿! 貴女は『エンパス』(他人の気持ちや感情を的確に読み取ることができる能力)のスキル持ちなのですか!?凄まじい眼力であります!!」
「本日の朝食は卵かけご飯 in 『毘沙門亭』の激辛パウダーのメガ盛り であります!!」マリーン カラミティーーーー!!!
『リサ!! 1万点の精度でお淑やかに……全身から「激辛の咆哮( 匂い )」を振りまいてりゃ、ニコ様の演算推理でも一発だぜ!!』
『 ついでに言うと、スカートにもパウダーをこぼしやがったな!!』
「こっちはニコ。ボクの支援AI」
普段は言葉を削ぎ落とす桐狐が、これほどまでに 饒舌になるのは珍しい。無表情ながら、彼女の旋律は「興奮( 高揚 )」のビートを刻んでいた。
「ニコ殿!! 『次世代知能・電脳化生命体』には お初にお目にかかります!! 宜しくお願い致します!!」
「パウダーの件は……寝坊して超速で食事したためで ありまして! もちろん、こぼした分も全て回収し、美味しく頂いたのであります!!」
リサのその「徹底した姿勢」に、桐狐はさらなる好感を抱いた。
「リサ、君のP90。整備と手入れは完璧。姿勢も態勢も合格。……だけど」
「だけど……で ありますか!?」
「撃つ瞬間、狙いすぎてる。コツは……弾丸を的に『置いていく』感じ。旋律を、空間に固定する」
「アドバイス、感謝であります!! 早速 試すのであります! それと、自分のことは リサと呼んでください、九尾殿!!」
「……ボクも、キリコでいい」
『アンタ!! 今日は会話時間の 最長記録更新だぜ!! 普段のアンタを知る連中が見たら、1,000兆ドルの精度で「鳩がSMGを食ったような顔」になるな♪』
ぐうぅぅぅぅぅ……。
不意に、二人の胃袋が同時に「共鳴」した。激辛の話題に反応した、身体の正直な「蹂趪( 叫び )」だ。
「……」
桐狐の頬が( 無表情だが )心なしか赤らむ。
「これは失礼!! 自分、朝食を 5回しかおかわりできなくて! 胃袋の AGT1500 ガスタービンが ガス欠であります!!」
『ギャハハハハハ!! アンタ達!! 同時に腹の虫を鳴らすなんて、もう魂のソウルメイトだな!!』
どちらから ともなく、二人は食堂へと 歩き出した。
言葉は不要。必要なのは「辛味」の補給だ。
射撃訓練場に併設された 大型レクリエーション施設。売店・食堂・フィットネス・温泉・救護施設・ショッピングモールまでが完備されている
この区域は 一般にも開放されており、軍民問わず 使用可能なので、ちょっとした 出会いの場でもある
「キリコ殿、お待たせしました!! 自分の『特製・「全知全能」・超たっぷりラー油・ぶっかけ・納豆・キムチ・スタミナ・丼』であります!!」
「……その盛り付け、モチーフは円空( えんくう )。ゴツゴツとした野性味の中に、不可思議な微笑みをたたえてる。……控えめに言って、100兆点」
「光栄であります!! 自分の アイデンティティを全肯定された衝撃……」
「GAU-8 アヴェンジャー(米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した30mm口径のガトリング砲)でハチの巣にされたような 快感であります!!」
「……リサの その表現、最高。ボクの激辛油そばも……見て」
「おお!! まさに オーギュスト・ロダン風の『近代激辛の母』!! 『激辛地獄の門』が一人称で 語りかけてくるような 崇高さであります!!」
「……ありがとう。ここまで 言われたのは、初めて」
『……アンタ達の会話、ニコ様の「言語掌握」デバイスを通さねえと、1,000兆ドルの精度で 意味不明だぜ!?』
刺激臭で周囲に 結界を張りながら、二人はガツガツと、かつ1万点の精度で 正確なリズムで 食事を平らげていく。
「自分、射撃の才能がないのでしょうか……。レクチャーを受けても、上達しないので あります……」
「ボクは、『零=屍鬼』(れい=しき)のヴァージョンアップが上手くいかない。……このままじゃ、足りないんだ。あの日の『旋律』に」
意気揚々としていた二人が、同時にしょぼくれモードに突入する。だが、食べる速度は落ちない。それが激辛党の「正常」な矜持だ。
「ガツガツ、もぐもぐ・・・キリコ殿は何故 愛銃の ヴァージョンアップするのですか?外装はLEM素材を ふんだんに使い、内部構造は・・・」
「誤読因子を封印している スペシャル仕様」
「ロマン+実用性の 半生命体GUN!自分ならトイレ!風呂にも 同伴するであります!」
何気ない会話に 超機密情報ワードを ポンポン入れる リサ、当人に悪気はないのだが・・・人気が無かった事は幸いだった
「……!! リサ、それが分かるの?」
「キリコ殿……この『零=屍鬼』、拝見して……ハッ!? な、何でありますか、この変態的・超・構成は!? 」
「LEM素材のレシーバーに、ボルトキャリアはセラコートどころかナノ単位の誤読因子封印コーティング!? 」
「まさか?!フリーフローティングバレルを 電脳共感覚で 強制制御してるとでも 言うのでありますか!?」
「常軌を逸したオーバーテクノロジー、控えめに言って 1億兆点!」
「米海兵隊の兵器廠( アーセナル )が見たら泡を吹いて 卒倒するレベルの ロマン+実用性であります!!!」
またしても桐狐は驚愕する(もちろん無表情)・・・リサのマシンガントークは全て事実、だがこの発言で ニコは警戒レベルを 1つ上げた。
『……アンタ!! ニコ様がマリーンのデータベースに侵入して素性を洗うまで、迂闊なことは喋るなよ!!』
ニコが桐狐の脳内にのみ、警告のノイズを走らせる。
だが、ニコ自身も リサの魂が放つ「旋律」が、桐狐の孤独な戦いに 必要なピースであることを、全演算回路で理解していた。
『( まあ……アンタの唯一無二の友人になれると、このニコ様も思っちゃいるがな! )』 ブゥゥゥン・・・ 【No problem】
「次世代知能・電脳化生命体」(ネクスト・アイアン・コア・オプション)
【N.I.C.O.:Type-Evolution】N:Next-gen(次世代)I:Intelligence(知能)C:Cybernetic(電脳化)O:Organism(生命体)
通称:ニコ
ノリとテンションのAIと誤認する輩は多いが・・・・・
その実態は 桐狐の所属する組織 A.N.F(アンフ)【アノマリー・ニュートラ ライゼーション・フォース】の支援 AI
LEM(異形生命体)を中心とした 特異災害・異常存在への対処を専門とする 国家規模の 総合 戦闘組織のメインサーバーにアクセスを許可されている
桐狐の 唯一無二の相棒だ。
「ハッ?!・・・し、失礼しました!? 自分・・・超ミリヲタなのですが、銃火器の整備は 超得意なのであります! マリーンの友人達のメンテもやっています!」
「また私、やっちゃいました?!」顔のリサ、これで何人もドン引きさせた 彼女の真骨頂。リサ・・・時と場所、TPOはわきまえよう。
「……リサ、頼みがある。ボクの『零=屍鬼』のヴァージョンアップ、手伝って欲しい。代わりに、ボクが君に『射撃訓練の教練』を教える」
「お任せください キリコ殿!! 不肖リサ・M・トルーマン、AGM-114 ヘルファイアのようにピンポイントでご要望に 命中させるのであります!!」
『交渉成立だな!! それにしてもお前ら、真剣な話をしてても 食う速度が一定なんだな! 食いしん坊万歳どもめ!!』
「食後は、射撃指導……?」
「本日の供与弾薬は すべて 撃ち尽くしてしまったので、明日以降で お願いするであります!! ウーーラーーー!!」
リサの射撃訓練は 今日は出来そうにない、かといってここで別れるのも味気ない・・・が、ニコが閃いた
『ギャハハハハ!! なら名案だ! 午後はニコ様たちの隠れアジト……「機械いじり部屋」にでも来るかい!?』
「実習棟の一部を、秘密基地( セーフハウス )にしている」
「おおっー♪ ニコ殿とキリコ殿の聖域に行きたいであります!! ルーデル閣下の搭乗する Ju87シュトゥーカの如き 急降下爆撃で向かうであります!!!」
『ギャハハハハハ!!リサの比喩は真正のミリヲタだな!気に入ったぜ!』
『アンタ!「激辛油そば」の隅々まで 箸で綺麗にしてる暇はないぞ!完食したなら、出発だぜ!!』
「食べ物は大切。完食。……ごちそうさまでした」
「Thank you for the meal ♪(ごちそうさまでした♪) 自分も空であります!!」
『それじゃあ リサ! 「マジノ線」へ招待してやるぜ!! 1万点の精度でお淑やかに……蹂趪開始だ!! ウーーラーーー!!!!』
「ウーーラーーー!!!!」
「……ニコ。それ、負けフラグじゃ」
桐狐の小さなツッコミは、二人の「ウーラー!!!!」という咆哮にかき消された。
無表情な少女と、ハイテンションな マリーン、そして爆音のAI。
不協和音のような 三人の存在は、一つの「新たな旋律」となって、曇天の街へと響き渡っていった。
🦉 🐶 🦊 🐯 🐬 🐼 🦚 🦁 🐻❄️ 🦂 🦐 🥐 🐭 🦇 🐝 🦟 🦝 🐨 🐌 🐺 🐻
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon
イラストの呪文(ネガティブプロンプト)
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