【マタタビ】4.ミルク

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【マタタビ】3.メイドカフェ“ポームム”
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 シルエラに案内され、店の奥の個室に着くと、そこは、店の中というよりも、お屋敷の一室のようだった。壁にはアンティークな装飾が施され、古びた絵画がかけられていた。天井にはクリスタルのシャンデリアが輝いており、部屋の中央には豪華なテーブルと椅子が並べられている。シルエラが椅子を引き、シロに座るよう促す。シロが席に着くと、シルエラが尋ねた。

「お嬢様、お食事かお飲み物をお持ちしますが、何がよろしいでしょうか?」
「えっと……ミルク」

 シロは戸惑いながらも、好物のミルクを注文した。

「かしこまりました。そちらのお猫様も同じものでよろしいでしょうか?」
「お猫様? クロのこと?」

 シルエラはシロに聞いたのだろうが、戸惑っているシロを待たずに、俺は直接答える。

「ああ、俺も同じでいい」

 俺が回答すると、シルエラは驚いた。

「……お猫様が、喋った」
「説明は、後だ。先にミルクをくれ」

 俺は、説明が面倒になって、そう要求した。

 しばらくすると、シルエラは、木製のワゴンに豪華なティーセットを載せて運んできた。そして、俺たちの目の前で、ティーポットからカップにミルクを注ぐ。

「どうぞ、お召し上がりください」

 シルエラは、シロの前にミルクを差し出す。そして、同じく豪華なスープ皿にミルクを注ぎ、俺の目の前に置いた。俺は、匂いを嗅ぎ普通のミルクであることを確認すると、ペロペロとミルクを舐めた。炎天下の中歩き続けて熱を帯びた体を、冷たいミルクが冷やしてくれる。シロもカップを両手で持ち、グイッと飲み干した。
 
 俺は、ミルクを飲みながら、改めてシルエラに説明した。

「俺の名前は、クロ。見た目は黒猫だが、ロボットだ」

 俺が、人工知能を搭載した猫型ロボットであること。シロが、シンカロンであること。俺たちは旅人で、初めてニューナゴヤを訪れたことを話した。シルエラは、ニューナゴヤから出たことがないらしく、旅の話に興味津々だった。俺とシロは、シルエラに今までの旅のことを話して聞かせた。
 
 ミルクを飲み終え、話が一段落すると、シルエラは、ティーセットを片付けながら聞いてきた。

「他に、何か欲しいものはございますか?」

 俺は、単刀直入に聞いた。

「“星の樹”に関する情報が欲しい」
 
 すると、先ほどまで、にこやかな笑顔だったシルエラの表情が固まった。

「……?」

 シロは、不思議そうにシルエラの顔を覗き込む。しばらくの静寂の後、シルエラは言った。

「“星の樹”に関する情報は、機密情報となりますので、メイド長と相談して参ります。少々お待ちください」

 そう言うとシルエラは一礼し、木製のワゴンを運びながら部屋を出ていった。

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(次の話)
【マタタビ】5.星の樹の情報
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