「……ん、ふー。ちょっと、そこで見てないで手伝ってよ!」

青いリボンを口にくわえたまま、金髪の少女エレナが、教室の入り口に立つ幼馴染に抗議の声を上げました。

「手伝うって言っても、女子の髪の結び方なんて知らないぞ。それより、もうすぐ図書室が閉まる時間だろ?」

「ええっ!? うそ、もうそんなの? 掃除に集中しすぎちゃった……」

エレナは慌ててリボンを手に取り、不器用そうに長い髪をまとめようと苦戦しています。

「ほら、焦ると余計に結べないぞ。貸してみろ、リボンを抑えるくらいならできる」

「……ありがとう。じゃあ、レオ、ここを指で押さえてて。絶対、変な風に引っ張らないでよ?」

「わかってるって。……お、意外と上手くいったんじゃないか?」

エレナは窓ガラスを鏡代わりにして、仕上がりを確認すると、満足げに鼻を鳴らしました。

「ふふん、なかなかの出来ね。さすが私の助手!」

「助手になった覚えはないんだけどな。さあ、行くぞ。本を返さないと延滞金だろ?」

「あ、待って! 最後にちょっとだけ、この夕日を見てから。……ねえ、今日の空、琥珀色ですごく綺麗じゃない?」

「……ああ、そうだな」

二人の影が長く伸びる教室で、穏やかな笑い声が響きました。

呪文

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