[Location]ニューオオス ジャンク市場

晴天の爽やかな風が、ニューナゴヤの街並みを撫でていく。しかし、その清々しさとは裏腹に、地面から立ち昇る湿った蒸気が足元をじわりと包み込む。朝もやの中、私は旅人として、この活気あふれる都市の中でも特異な雰囲気を放つニューオオス地区に足を踏み入れていた。

AR式情報端末が目の前で青く光る。「位置情報更新中」の文字が瞬く間もなく消え、新たな情報が浮かび上がる。同時に、警告メッセージも点滅する。《ニューオオス地区：外部者に対して警戒心▲》
私は無意識のうちにフードを右に深く傾け、顔を隠すように調整した。ニューナゴヤ全体は比較的旅人にも開放的だが、このニューオオス地区は様子が違う。住民たちの鋭い視線を感じる。彼らの閉鎖的な姿勢は、この地区特有の生存戦略なのだろうか。
かつての名古屋、今や「ニューナゴヤ」と呼ばれるこの街は、世界の終焉後も奇跡的に存続した。私たち旅人は、滅びた文明の遺物を集め、自由に楽しく生きることを糧としている。そして今、私はこの排他的な一角で新たな冒険の予感を感じていた。
まずは拠点作り。見つけた古い橋の橋脚跡を改造し、快適な橋頭堡にすることに決めた。蒸し暑さと格闘しながら作業を進めるうちに問題が発生。掘削機が故障したのだ。
AR端末に修理手順を表示させるが、必要な部品がない。そこで向かったのが、噂に聞くニューオオスのジャンク市場だ。近づくと、AR画面に「NEW OSU JUNKMARKET」の文字が青白く浮かび上がる。
市場に一歩踏み入れると、湿った空気が肌に張り付く。AR端末が様々な情報を次々と表示し始める。商品の年代、推定価格、互換性のある機器のリスト。現実の喧騒とデジタルの情報の洪水が重なり、目が眩むような感覚に陥る。
フードの陰から慎重に周囲を窺いながら、AR端末の表示に導かれ市場を歩き回る。ニューナゴヤの他の地区とは違う、地元民の警戒的な視線を背中に感じつつ、ここでの滞在が長引きそうだと悟る。掘削機の部品を探すだけでなく、この地区の謎を解き明かすためにも。
AR端末に新たな任務が追加される。「ニューオオス探索」「ジャンク市場周辺の位置情報獲得」。私は密かに微笑む。ニューナゴヤの中でも特異なニューオオス。この閉鎖的な地区に隠された秘密を探り当て、信頼を勝ち得るまで、私の旅は続く。
そう心に決めながら、ARが示す道筋に従い、蒸し暑さと警戒の目を気にしつつ、私は市場の奥へと歩を進めた。ニューナゴヤの自由な空気と、ニューオオスの緊張感。この対比が、さらなる興味をかき立てる。