いのりショートストーリー ❶【渋谷、逆異世界転生】

使用したAI ChatGPT
渋谷に来てから三ヶ月。

楪いのりは、すっかり“夜の街”に馴染んでいた。

スクランブル交差点。
濡れた路面に反射するネオン。
大型ビジョンから流れる流行曲。
終電間際でも眠らない人波。

最初はただ眺めるだけだったその景色を、今の彼女は自然に歩いている。

「……みゆ、遅い」

109前でスマホを見つめながら、いのりは小さく呟いた。

最初は使い方すら分からなかったスマホも、今ではSNSまで使いこなしている。
投稿は少ない。
でも、時々上げる何気ない写真は、毎回驚くほど拡散された。

“渋谷のピンク髪の子”として。



「ごめーん! 待った?」

駆け寄ってきたミユは、いのりを見るなり目を丸くした。

「うわ、今日のいのりヤバ。完成してる。」

「……完成?」

「ギャルとして。」

いのりは首を傾げる。

赤みの入ったブレザー。
少し緩めたネクタイ。
短めのスカート。
ゆるく巻かれたピンクの髪。

けれど、その瞳だけは相変わらず透明で、どこか遠い世界を見ているみたいだった。

「……変じゃない?」

「むしろ強い。」

ミユは笑いながらスマホを向けた。

「はい、盛れる角度こっちー。」

カシャ。

その瞬間。

背後の巨大ビジョンに、偶然いのりの姿が映り込んだ。

通行人がざわつく。

「あの子、SNSの……」

「え、実在したんだ。」

「やば、透明感エグ……」

いのりは少しだけ困った顔をした。

注目されることには、まだ慣れない。



だがその夜。

センター街を歩いている途中、突然ビジョンの映像が乱れた。

ノイズ。

耳鳴りのような高音。

そして――一瞬だけ映った、“見覚えのある紋様”。

いのりの足が止まる。

「……嘘」

胸の奥がざわつく。

忘れたはずの感覚。
戦い。
歌。
失った世界。

渋谷の喧騒が遠ざかる。

その時だった。

「いのり!」

ミユが彼女の手を掴む。

「どしたの? 顔真っ青だけど。」

いのりは、しばらく黙っていた。

そして小さく微笑む。

「……なんでもない。」

本当は分かっていた。

“向こう側”は、まだ完全には終わっていない。

それでも。

今の彼女には、この世界で出来た居場所があった。

コンビニ帰りに飲むタピオカ。
終電間際のドンキ。
くだらないプリクラの落書き。
笑いながら肩を並べて歩く友達。

かつての世界では知らなかった、“普通の青春”。

雨上がりの渋谷。

巨大ビジョンの光を浴びながら、いのりは静かに空を見上げた。

「……もう少しだけ」

夜風がピンク色の髪を揺らす。

「この世界に、いたいな。」

━━━━━𝕋𝕠 𝕓𝕖 𝕔𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕

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