いのりショートストーリー ❶【渋谷、逆異世界転生】

使用したAI ChatGPT
渋谷に来てから三ヶ月。

楪いのりは、すっかり“夜の街”に馴染んでいた。

スクランブル交差点。
濡れた路面に反射するネオン。
大型ビジョンから流れる流行曲。
終電間際でも眠らない人波。

最初はただ眺めるだけだったその景色を、今の彼女は自然に歩いている。

「……みゆ、遅い」

109前でスマホを見つめながら、いのりは小さく呟いた。

最初は使い方すら分からなかったスマホも、今ではSNSまで使いこなしている。
投稿は少ない。
でも、時々上げる何気ない写真は、毎回驚くほど拡散された。

“渋谷のピンク髪の子”として。

◇

「ごめーん! 待った?」

駆け寄ってきたミユは、いのりを見るなり目を丸くした。

「うわ、今日のいのりヤバ。完成してる。」

「……完成?」

「ギャルとして。」

いのりは首を傾げる。

赤みの入ったブレザー。
少し緩めたネクタイ。
短めのスカート。
ゆるく巻かれたピンクの髪。

けれど、その瞳だけは相変わらず透明で、どこか遠い世界を見ているみたいだった。

「……変じゃない?」

「むしろ強い。」

ミユは笑いながらスマホを向けた。

「はい、盛れる角度こっちー。」

カシャ。

その瞬間。

背後の巨大ビジョンに、偶然いのりの姿が映り込んだ。

通行人がざわつく。

「あの子、SNSの……」

「え、実在したんだ。」

「やば、透明感エグ……」

いのりは少しだけ困った顔をした。

注目されることには、まだ慣れない。

◇

だがその夜。

センター街を歩いている途中、突然ビジョンの映像が乱れた。

ノイズ。

耳鳴りのような高音。

そして――一瞬だけ映った、“見覚えのある紋様”。

いのりの足が止まる。

「……嘘」

胸の奥がざわつく。

忘れたはずの感覚。
戦い。
歌。
失った世界。

渋谷の喧騒が遠ざかる。

その時だった。

「いのり!」

ミユが彼女の手を掴む。

「どしたの? 顔真っ青だけど。」

いのりは、しばらく黙っていた。

そして小さく微笑む。

「……なんでもない。」

本当は分かっていた。

“向こう側”は、まだ完全には終わっていない。

それでも。

今の彼女には、この世界で出来た居場所があった。

コンビニ帰りに飲むタピオカ。
終電間際のドンキ。
くだらないプリクラの落書き。
笑いながら肩を並べて歩く友達。

かつての世界では知らなかった、“普通の青春”。

雨上がりの渋谷。

巨大ビジョンの光を浴びながら、いのりは静かに空を見上げた。

「……もう少しだけ」

夜風がピンク色の髪を揺らす。

「この世界に、いたいな。」

━━━━━𝕋𝕠 𝕓𝕖 𝕔𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕

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