「ねえ、見て! 今日は一段と空が青いよ!」

満開の桜並木の下、ヒナタがくるりと振り返りました。長い金髪が春風になびいて、キラキラと太陽を弾いています。

「本当だな。でも、そんなに急ぐと転ぶぞ」

「大丈夫だってば。それより、あそこ! 去年よりずっとお花が多い気がしない?」

ヒナタは桜の枝にそっと手を伸ばそうとして、少しだけ爪先立ちをしました。

「うーん……あとちょっと……。ねえ、私、背伸びたかな?」

「どうだろうな。去年は、その枝に指も届いてなかった気がするけど」

「でしょ! よし、今のうちに証拠を残しておかなきゃ」

ヒナタは制服の襟元を整えると、いたずらっぽく笑ってカメラを構える私の方を向きました。

「はい、撮って! 桜より私が主役だからね」

「わかってるよ。はい、チーズ」

パシャリ、とシャッター音が響くと同時に、ひときわ強い風が吹き抜けました。舞い散る花びらが、彼女の髪や肩にふわりと降り積もります。

「わわっ、すごい! 花びらのシャワーだ!」

「あはは、ヒナタ、頭に花びら乗ってるぞ」

「えっ、どこ? 取って取って!」

「いや、そのままがいい。春がヒナタを気に入ったみたいだから」

「もう、変なこと言わないでよ!」

顔を赤くして笑う彼女の隣で、穏やかな春の時間がゆっくりと流れていきました。

呪文

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